比較:発展編
原級を使った as … as の表現の2回目です。
今回は、
as … as を用いた様々な表現を解説します。
※番号は前回の ① as … as A の構造 から続いている番号です。
as … as A の … の部分は「比較のポイント」 A の部分は「比較対象」として、説明をしています。 |
② 「強調する」as … as A
▶︎ as … as A の形は、
「同じ程度」というニュアンスから、
A の部分に「かなり多い数や量」を持ってくることにより、
「こんなに多くの、〜もの」という、「数・量」を強調する表現になります。
👉 as much as A / as many as A
ex.1 Roza read as many as 5 books yesterday.
(ローザは昨日5冊もの本を読みました。)
▶︎ Roza read 5 books yesterday. の
5 books の「冊数の多さ」を強調するためその前に as many as を加えます。
※ as many as は、many を使っていることからも分かるように、
「数えられる名詞」の「数の多さ」を強調します。
ex. 2 Kenta saved up as much as one million yen in a year.
(ケンタは1年で100万円もお金を貯めました。)
▶︎ Kenta saved up one million yen in a year. の
one million yen の「金額の多さ」を強調するためその前に as much as を加えます。
※ as much as は、much を使っていることからも分かるように
「数えられない名詞」の「量の多さ」を強調します。
ex.3 My brother paid as much as 300 dollars for these shoes.
▶︎ My brother paid 300 dollars for these shoes. の
300 dollars の「金額の多さ」を強調するためにその前に as much as を加えます。
❓dollars って「複数形」を使っているのに、as much as を使うの? |
A お金 [money] そのものは、「数えられない名詞」です。 ここでは、「お金」を「金額の単位 – dollar」を用いて述べているので、 300 dollars となりますが、300 dollars 一まとまりで「お金」なので、 「数えられない名詞」として扱い、as much as を使います。 |
※「数えられない名詞」は、何らかの「単位」や「形」「容器」などを使うと
複数形を用いて表現できます。
「形」- two sheets of paper (紙2枚)
「容器」- three cups of coffee (コーヒー3杯)
「単位」- five liters of water (5リットルの水)
まとめ
🔴 as many as A, as much as A で「こんなに多くのA、Aもの」
・as many as +「かなり多くの数」
▶︎「数えられる名詞」の「数の多さ」を強調
・as much as +「かなり多くの量」
▶︎「数えられない名詞」の「量の多さ」を強調
次は、同じく「強調する as … as A 」ですが、
A の部分に、any が来る形です。
▶︎ as … as A の Aの部分に
any (+単数形)を持ってくることにより、
「どんな〜にも劣らず … だ」というニュアンスになり、
「極めて〜、一番〜」という、とても強い強調する表現になります。
※any のイメージは、「どれをとっても」
ここから、「どれをとっても〜と同じくらい(劣らない) 」というニュアンスが生じて、
「極めて〜、一番〜」という強調表現になります。
👉 as … as any (+単数形)
ex.4 Taro is as kind as any man I know.
(タロウは私が知っているどんな優しい男と比べても劣らない
▶︎タロウは極めて優しい男です。)
ex.5 This coffee is as goods any.
(このコーヒーは、どのコーヒーに劣らず良い
▶︎このコーヒーは一番良い。)
まとめ
🔴 any の「どれをとっても」のイメージが
as … as any (+名詞)の形で、「極めて〜、一番〜」というニュアンスを生み出す。
③「変わらない」ことを表現する as … as A
▶︎ “ever” には「任意の時→いつの時でも」というニュアンスがあり、
as … as A の A(すなわち「比較の対象」の部分)に、その ever が来ると
「どんな時と比べても」→「いつもと同じように / 相変わらず」という表現になります。
👉 as … as ever
ex. 6 Her mother is as beautiful as ever.
(彼女のお母さんは、相変わらず美しい。)
ex. 7 He looks as sleepy as ever.
(彼は相変わらず眠そうに見える。)
まとめ
🔴 ever の「いつの時でも」というニュアンスが
as … as ever の形で、「相変わらず〜」という表現を生み出す。
次は、as … as A の ,,, (比較のポイント)の部分に good が来ると
「変わらない」こと表現することになります。
▶︎ as … as A の … の部分に
good が来て、as good as A という表現があります。
この時の good は、「十分な、相当な」という意味で、
「A に相当する、十分にA である」→「ほとんど〜 と同じ」という表現になります。
👉 as good as A
ex. 8 This guitar is as good as new.
(このギターは、新品同様です。)
▶︎比較の対象が「new:新しい」なので、
「ほとんど- 新しいのと同じ」=「新品同様」となります。
ex. 9 If my teacher finds out that, I am as good as dead.
(もし先生がそのことを見つけ出したら、私は死んだも同然だ。)
▶︎ 比較の対象が「dead:死んでいる」なので、
「ほとんど-死んでいるのと同じ」=「死んだにも同然」となります。
❓as good as で good が「良い」という意味のことはないの? |
A もちろん as good as で「同じぐらい良い」という意味の時もあります。 This pen is as good as that one. (このペンは、あれと同じぐらい良い。) ▶︎この as good as との違いは、 「ほとんど〜と同じ」= as good as 形容詞 / 動詞の過去分詞形 「〜と同じくらい良い」= as good as 名詞 と言えると思います。 ※特に、「ほとんど〜と同じ」という表現の場合の、 「形容詞 / 動詞の過去分詞形」は “new” “dead” “finished” であることが多いです。 |
まとめ
🔴 good の「十分な」という意味から、
as good as 形容詞 / 動詞の過去分詞形 で、「ほとんど〜と同じ」という意味になります。
※この表現の「形容詞 / 動詞の過去分詞形」では、 new, dead, finished がよく使われます。
④ 比較対象の主語がない as … as can be
▶︎この as … as can be の表現で、
あれ?おかしいな?と思いませんか。
普通の、「比較対象」であれば、 as … as 主語 can be の形であるはずです。
どうして、この主語が抜け落ちてしまったのでしょうか。
例文を見ると、その理由がわかります。
ex. 10 I miss you so much. I am as sad as can be.
(私ああなたがいなくてとても寂しい。私は、この上なく悲しい。)
▶︎2つ目の文を、省略なしで書くと、
I am as sad as I can be sad. となり、直訳すると
「私は、悲しい状態でありえるのと同じくらい悲しい」
→ 「あり得るのと同じくらい」というは「この上なく、最高に」という意味なので
→「この上なく悲しい」となります。
※ここで、「比較対象」の I は、主語の I と同じで、
「比較対象」の sad も、as … as の「比較のポイント:sad」と同じなので、
同じ部分を省略してしまいます。
I am as sad as I can be sad.
▶︎I am as sad as can be. の出来上がり!となります。
ex. 11 The sea here is as blue as can be.
(ここの海は、この上なく青い。)
▶︎省略なしで書くと、
The sea here is as blue as the sea here can be blue.
ex. 10 と同じように、「比較対象」の部分で同じものを消すと、
The sea here is as blue as the sea here can be blue.
▶︎ The sea here is as blue as can be. となります。
まとめ
🔴 比較対象の部分での「主語」と「形容詞」が同じため省略される
as … as can be は、「この上なく〜」という意味を表現する。
⑤ 2つの意味を有する as good as it gets
▶︎この表現は、その文脈に応じて、
2つの意味を有する、少し複雑な表現です。
ex. 12 Enjoy the festival. This is as good as it gets.
▶︎問題は「比較対象」の部分の it gets の解釈です。
主語の it は、周りの状況や状態を漠然と示す it です。
そして、動詞 gets のニュアンスです。
・ここの get は「〜になる」という意味で、さらに深く調べると、
「最終的に〜になる」というニュアンスがあります。
▶︎ここから、「周りの状態・状況が最後に到達する状態」という意味をもちます。
この最後の「到達点」の度合いによって、意味が2つに分かれるのです。
[1] 「到達点」が「到達可能な最高水準」であれば、
This is as good as it gets.
「この状態は、到達可能な最高水準に十分に相当する。」
→「最高だ」
※good には「十分だ」という意味も合いもあります。
👉as good as A の good でその意味を紹介しています。
[2] 「到達点」が「満足はできないが、その地点にしかたどり着けない」のであれば、
This is as good as it gets.
「この状態は、満足は全然しないが、
どうしたってその地点にしかならざるを得ない状態に十分に相当する。」
→「どうにもならないひどい状態だ」
これに合わせて
ex. 12 を解釈していくと
ex. 12 Enjoy the festival. This is as good as it gets.
「この祭りを楽しんでください。 – 最高です。」
のように [1] の「最高だ!」という意味で解釈することができます。
それでは、次の例文ではどうでしょう?
ex. 13 I’ve lost all my money. This is as good as it gets.
「私は全てのお金をなくしてしまった。 – どうにもならない。」
のように、この例文では、
[2] の「どうにもならないひどい状態だ」という意味で解釈することができます。
まとめ
🔴 as good as it gets は、
「その到達点」の違いによって、
[1]「最高だ!」
[2] 「どうにもならないひどい状態だ」
の2つの意味を有する。
– この違いは、文脈や会話の流れの中で判断されることとなります。
今回はここまで
🔴比較・発展編での「原級」は「その1」から「その3」まであります。
興味のある方は下記をクリックしてご覧ください。
👉原級その1
・as … as A の構造について
👉原級その3
・not so much A as B
・not so much as +動詞の原形
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