助動詞の4つ目は、may を取り上げます。
may は、
中学校の教科書では、2年生時に
「食事」や「買い物」の場面の会話表現の1つとして、
May I 〜?の形で登場してくることが多いようです。
この may を詳しくしてみましょう。
may がもつ基本的なニュアンス
例えば、こんな「買い物」の1シーンで
教科書では may は登場してきたはずです。
A: May I help you?
「いらっしゃいませ(お手伝いしてもいですか)。」
B:I’m looking for a shirt.
「シャツを探しているんですが。」
このように、
▶︎May I 〜?は、「〜してもいいですか」という
許可を求める表現ですと、
簡単に説明されていたと思います。
しかし、
これだけでは 助動詞 may のことを理解することは
できません。
そこで、今までの助動詞と同じように
may にも「土台となるニュアンス」があるので、
それを最初に確認していきたいと思います。
may が有する「許可を与える」というニュアンス
・助動詞 may には
「許可を与える」という基本的なニュアンスがあり、
そこから、様々な may の使い方が出てくるのです。
may の基本ニュアンス「許可を与える」 |
⬇️
①許可 | ※②不許可(禁止) | ③推量 | ※④祈願 |
▶︎人に対して「〜してよい」と許可する | ▶︎否定形で「〜してはいけない」と許可を与えない | ▶︎その状況に対してそうなる「許可」を与える範囲内にある | ▶︎神様などに対して「〜となるように」と許可をもらう |
※②、④は中学校の教科書では扱われていませんが、説明をしていきます。
(May I 〜?に対しての No, you may not. は②の「不許可」です。)
◎このそれぞれについて
詳しく例文を挙げて解説していきます。
may の基本的な4つの使い方
①許可(〜してよい)
・一番最初は、許可を表す may の使い方です。
この使い方は、一番 may の基本ニュアンスそのもので
※「〜してよい」という意味で
主語の行動に対して「許可」を与えることが
できます。
▶︎この「許可」を表す may は、そのニュアンスから、
May I 〜?の形で「許可を求める言い方」としてよく使われます。
例文を挙げます。
ex.1 You may take pictures here.
「あなたはここで写真を撮ってもよい。」
▶︎「あなた」が「ここで写真を撮ること」に対して「許可」を与えています
ex.2 May I ask you a question?
「あなたに質問をしてもいいですか。」
▶︎相手に対して「質問をする許可」を求める言い方です。
👉May I 〜?に対する答え方ー Yes, you may. / No, you may not.
Can I 〜?と May I 〜?の違い
・「許可をもらう」表現として、
中学校では、Can I 〜?と May I 〜? の2つがありますが、
can と may の基本的なニュアンスを確認すると違いがわかります。
◎ can ▶︎「可能性がある」というニュアンス
◎ may▶︎「許可を与える」というニュアンス
ここから、
may には、元来「上のものが下のものへ」許可を与える感覚があるので、
Can I 〜?は「カジュアルな」「普段の友達同士」の会話で使われ
May I 〜?は「フォーマルな」「礼儀正しい」印象を与えます。
※②不許可(否定文:〜してはいけません)
・①で説明したように may は「許可を与える」ニュアンスがあるので
それを否定形にすると
▶︎当然「〜してはいけません」と許可を与えないことを表現になります。
例文を挙げます。
ex.4 You may not make a noise in this room.
「この部屋では音を騒いではいけません。」
▶︎相手に対して「この部屋で騒ぐこと」を許可しない
※may not には短縮形がありません。
ex.5 You may not swim here.
「ここでは泳いではいけません。」
▶︎相手に対して「ここで泳ぐこと」を許可しない
may not と must not の違い
・「〜してはいけません」という日本語だけを見ると
may not と must not は同じ意味だと思われますが、ニュアンスは違います。
それぞれの助動詞の基本ニュアンスを確認しましょう。
◎ must ▶︎「圧力を加える」というニュアンス
👉must not :「高圧的な禁止」
◎ may ▶︎「許可を与える」というニュアンス
👉may not:「許可を与えない」
例文を示します。
a. You must not feed this animal.
「この動物にエサを与えてはいけません。」
b. Visitors may not feed the animals.
「来園者は動物にエサを与えてはいけません。」
a. には、エサを与えると何らかの危険があるので、
「絶対にこの動物にはエサを与えてはいけない」という
高圧的な圧力があります。
▶︎だから、禁止の命令文に言い換えることもできます。
( Don’t feed this animal.)
b. はエサを与えることは動物にも、動物園にとっても不都合なことが
あるので「公的な権威(ここでは動物園の規則)」で
許可していないというニュアンスです。
③推量(〜かもしれない)
・may の「許可を与える」というニュアンスが
ある程度の幅を持つと「許容範囲」のニュアンスになり
そこから「〜かもしれない」という「推量」を意味するようになります。
例文を挙げます。
ex.6 They may lose this game.
「彼らはこの試合に負けるかもしれない。」
▶︎「勝つ」と「負ける」の「許容範囲」の中間を示す「推量」
(この英文の裏側には、They may win this game. があります。)
ex.7 You may be right.
「あなたは正しいのかもしれない。」
▶︎「あなたの言うこと」が「正しい」と「間違い」の「許容範囲」の中間を示す
「推量」
(この英文の裏側には、You may be wrong. があります。)
推量の度合いで助動詞は変わる
・「推量」を表す may は、
上記で示したように、
They may lose this game. には、それと同時に
They may win this game. もニュアンスとしてあります。
👉すなわち、50%の確率ーどっちになるかわからないーを表現します。
・may には、その過去形 might( 中学校では扱いません ) がありますが、
その確率が低くなります。
They might lose this game.
「彼らはひょっとしたらこの試合に負けるかもしれない。」
👉30%程度の確率を表現します。
助動詞 will の部分でも扱いましたが、
未来に対する確率は以下のようになります。
〜「未来」に対する確率に応じる助動詞〜 ・根拠がある場合 will ・50% の確率 may【〜かもしれない】 ・30%程度の確率 might( may の過去形 )【ひょっとしたら〜かも】 |
◎助動詞 might (may の過去形)については、
後から、「高校」のカテゴリーで詳しく説明します。
※④祈願(〜でありますように)
・「神さまお願いします。」のように
神さまに許可をもらうようなこの文は、「祈願文」と言われ、may を用いて
表現します。
▶︎「祈願文」の場合は、下記のような形で表現します。
May +主語+動詞の原形〜! |
例文を挙げます。
ex.8 May all your dreams come true!
「あなたの夢が全てかないますように!」
▶︎「夢の実現」を「祈願」
ex.9 May peace prevail on Earth!
「世界が平和でありますように!」
▶︎「世界平和」を「祈願」
※prevail:普及する、広まる
これで、助動詞 may については終了です。
その他の助動詞 についても確認したい方は下記をクリックしてお読みください。
👉助動詞 can
👉助動詞 will
👉助動詞 must
なお助動詞の基本的な役割、使い方を確認したい方は
下記をクリックしてお読みください。
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