比較:発展編
最上級の2回目です。
今回は、
最上級についての気を付ける表現の4つのポイントを取り上げました。
① 最上級が「〜でさえ」(譲歩)という意味を含む場合
▶︎最上級が、文中において
「〜でさえ」というニュアンスを含む場合があります。
先に例文を示しましょう。
ex.1 The bravest people sometimes feel scared.
「どんなに勇敢な人々でも恐れを感じる時はある。」
ex.2 The smartest man cannot solve this difficult problem.
「最も聡明な人でもこの難しい問題を解くことができない。」
ex.3 The cleverest person makes errors.
「どんなに賢い人でも間違いをする。」
▶︎このように、
最上級の主語にとって、「ふさわしくない / ありそうもない」ことを
動詞句に持ってくると、「最上級」に、「〜でさえ」という譲歩の意味を
含むます。
ex.1 であれば (the bravest people) ・「一番勇敢な人」は「恐れない」はず、 ex.2 であれば (the smartest man) ・「最も聡明な人」であれば「難しい問題も解ける」はず、 ex.3 であれば (the cleverest person) ・「最も賢い人」であれば「間違いはしない」はず、 というある程度の「既成概念」があるので、そこから 「〜でさえ」というニュアンスが生まれてくるのです。 |
まとめ
🔴 最上級を用いた主語の後に、
👉「その主語がしそうもない」ことを動詞の部分にもってくると
最上級に「〜でさえ」と even の意味を含む。
② 比較の対象を示さない – 絶対最上級
▶︎絶対最上級という言葉がわかりづらいので、
先に例文を示します。
ex.4 He is a most patient negotiator.
(彼は非常に粘り強い交渉人だ。)
ex.5 We had most exciting experiences there.
(私たちはそこで非常にエキサイティングな経験をした。)
ex.6 Taro will most certainly come.
(タロウはきっと来ます。)
これらの形を見ると、
① most の使い方の1つである |
〜ということがわかります。
このような使い方をする most を、
絶対最上級と言います。
まとめ
🔴 most を形容詞、副詞の原級の前につけることにより、
比較対象を明確にしないで、単にその「形容詞 / 副詞」の程度が高いことを表し、
very 〜 の意味を示します。
👉これを絶対最上級といいます。
※絶対比較級とは、使い方が違うので気をつけましょう。
絶対比較級については、下記の記事で解説しています。どうぞクリックしてみてください。
③ at (the) most / at (the) least
▶︎どちらの表現にも前置詞の at がついているので、
最初に at のニュアンスを確認しましょう。
◎ at の「イメージ」は「点」です。
・I got up at 7. ▶︎「7時」という「時間上の点」で
・Ken bought these shoes at this shop. ▶︎「この店」という「地理的な点」で
この at と 最上級の most と least が組み合わせると次のような意味になります。
ex.7 That man is 40 years old at (the) most.
(あの男は、せいぜい40歳だ。)
▶︎ most は much, many の最上級なので、
「最も数・量が多い点では」というニュアンスになります。
→「せいぜい・最大でも」
→そのニュアンスには「少ない」を含みます
ex.8 There were at (the) least 50 people in the hall.
(ホールには、少なくとも 50人の人がいました。)
▶︎ least は、little の最上級なので、
「最も少ない点では」というニュアンスになります。
→「少なくても・最低でも」
→そのニュアンスには「多い」を含みます。
・この at (the) most と at (the) least は、
the をつけないことが多いようです。
・また、この2つの表現は、
数値を含んだ語句の前後に置くことができます。
まとめ
🔴 数値に関わる表現として at (the) most, at (the) least がある
▶︎at (the) most:せいぜい・最大でも(「少ない」ニュアンスを含む)
▶︎ at (the) least:少なくても・最小でも(「多い」ニュアンスを含む)
◎使い方のポイントは2つあります。
・どちらも the をつけないで使われることが多い。
・どちらも「数値を含む語句」の前にも後ろにも置くことができる。
④ at (the) best / at (the) worst
▶︎こちらの表現も at と最上級との組み合わせです。
こちらも同じように例文でその意味を確認しましょう。
ex. 9 He will get a C at (the) best. ※成績の話です。
(彼は、せいぜい C しか取れないだろう。)
▶︎ best は、good の最上級なので、
「最も良い状態の(地)点では」となります。
→「良くても・せいぜい・最高でも」
→そこには「否定的なニュアンス(ここでは「悪い」)」を含みます。
ex. 10 Team D will get third prize at (the) worst.
(Dチームは最悪でも3位にはなるだろう。)
▶︎ worst は、bad の最上級なので、
「最も悪い状態の(地)点では」となります。
→「悪くても・最悪でも」となります。
→そこには「否定的なニュアンス(ここでは「良い」)」を含みます。
まとめ
🔴 数値や成績・成果などに関わる表現として at (the) best, at (the) worst がある
▶︎at (the) best:良くても・せいぜい・最高でも(「悪い」というニュアンスを含む)
▶︎at (the) worst:悪くても・最悪でも(「良い」というニュアンスを含む)
◎使い方のポイントは2つあります。
・どちらも the をつけないで使われることが多い。
・どちらも「数値や成績・成果に関わる語句」の前にも後ろにも置くことができる。
さて、ここで、
at (the) best に似た表現で、at one’s best という表現も紹介します。
👉at one’s best
▶︎上記で取り上げた at (the) most, at (the) least, at (the) best, at (the) worst
では、全てが「譲歩」のニュアンス「〜でさえ(多くても/少なくても/良くても/
悪くても) がありますが、
👉この表現 at one’s best にはそのニュアンスはなくなります。
▶︎おそらく、one’s best で
具体的に「〜 の最高の状態」とニュアンスがあるからです。
( do one’s best も「最善を尽くす – 〜の最高の状態でする」という意味ですね。)
▶︎そのため
at one’s best は、そのまま「最高の状態で」と肯定的な意味を持ちます。
ex.11 The cherry blossoms in Hirosaki are at their best now.
(弘前の桜の花は、今が最高の最高の状態である – 満開です。)
・at (the) best 👉「譲歩」のニュアンスを含み、「良くても・せいぜい・最高でも」 ・at one’s best 👉「譲歩」のニュアンスはない。そのまま「最高の状態で」 ※at one’s worst は「最悪の状態で」 |
今回はここまで
🔴比較・発展編での「最上級」は「その1」から「その3」まであります。
興味のある方は下記をクリックしてご覧ください。
👉最上級その1
・最上級を強調する言葉
・least の使い方
・同一[人/もの] の中での最上級
👉最上級その3
▶︎最上級に相当する表現
・no と原級
・no と比較級
・than any other
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