研修ガイドブックについて~基本編⑨その評価

基本編の最後です。

小学校の外国語活動・外国語の研修ガイドブックに
ついての9回目で、「基本編」の最後です。

今回は、第5章「小学校外国語教育の評価」についてです。

それでは、さっそく内容を見てみましょう。

まず、この部分では、
「学習評価においては、平成28年度12月の中教審の指摘を踏まえて」今後、追記・修正する予定だそうで、「平成30・31年度の移行期間における学習評価は、平成29年度中に通知される予定」だそうです。

そこで、まず「平成28年度12月の中教審の指摘」を見てみましょう。

中教審の指摘

まずは、学習指導要領等の改善及び必応な方策等などについてです。

学習指導要領等の改善及び必要な方策等について

〇観点別評価については、①「知識・技能」②「思考・判断・表現」③「主体的に取り組む態度」の3観点である。

→授業毎に見取るのではなく、単元や題材などのまとまりの中で指導と評価の一体化を考慮

〇学習評価の工夫改善に関する参考資料についても、評価規準を作成し見取る必要な手順を示すのが望ましい。複数の観点を一体的に見取ることも考慮。

〇指導と評価の一体化のための、多面的・多角的な評価を行うことが必要

〇観点③については、意志的な側面を捉えて評価することが求められる。

◎知識・技能の習得だけに陥るのではなく、それを子どもたちの積極的な取り組みを通して、
様々な方法で活用・応用させいくことが肝心であるという、もっともなことをお役所の文章的に表現すると、このような活字体になるわけです。基本的にこの部分については、私もその通りだと思います。ただ、先生方の中には、あまりにも「評価」にばかりこだわりすぎて、指導がそれに伴わない場合も多いように見受けられます。これほどの詳細の評価は、「何のために必要なのか?」→こどもの教育に必要で、個々の力を伸ばし、「生きる力」を育むためである、となるのでしょうが、これが本当に「子どものため」になっているのかは疑問だと思います。

次は、「外国語教育における学習評価」についてです。

外国語教育における学習評価

〇上記の3観点による観点別評価を、「年間を通じた目標を見通した上で」行うこと。

〇小学校の外国語教育(外国語活動・外国語科)でも、それは同じである。
ー筆記テストのみならず、インタビュー、スピーチ、語句や文を書くこと等のパフォーマンス評価や活動の観察等も重要である。

〇小学校高学年は「外国語科」の教科として位置付け、「評定」においては中学校や高校と同じように、数値による評価を適切に行うこと。
ー必要に応じては、文章の記述による評価を行うこともある。

〇具体的な「観点別評価」「評定」については、先進校の取り組みを参考にすること。

◎ここは、はっきり言って現段階では詳しく書けませんよ、ということしか書かれていません。最後の「先進校」の取り組みも参考に、というのは本当に丸投げしている感じを与えます。それでも、最初に、「平成29年度中」に移行期間の学習評価を通知すると明記されているので、その通知を待ちましょう。

この後に、参考として、「外国語教育における、①評価方法の工夫 ②評価時期の工夫 ③学校としての創意工夫の重要性」 が記されているのでそこも見てみましょう。

①評価方法の工夫

〇多様な評価方法からの児童の学習状況を的確に評価できる方法を選択して評価することが重要である。
ー外国語活動における「慣れ親しみ」に関する評価
・・・活動の観察やワークシートや作品等をその時間中に評価するのが適切である。
ー外国語科における「聞くこと」及び「書くこと」と「読むこと」の文字に関する評価
・・・活動の観察、ワークシートや作品の分析、ペーバーテスト等の方法
ー「話すこと」の評価
・・・活動の観察、パフォーマンス評価、授業内の発表等

◎特に「慣れ親しみ」の部分の評価は難しいのですが、実はこの部分に関しては、現在の小学校5・6年生の「外国語活動」で指導者が実際に評価を行い、様々な事例や方法が紹介されているので、現場の教員としてはそれほど抵抗がないかもしれません(評価に時間はかかると思いますが)。問題は、数値「評定」を求める「外国語科」の評価です。言葉で評価してきたものを、そこから「数値」へもっていくことの抵抗感が教員としては強いと思います。これからの大きな課題となりそうです。

②評価時期の工夫

〇授業改善のための評価を日常的に行うこと。毎回の授業で見取るのではなく、単元や題材のまとまりの中で最適な時期に行うこと。ある程度長い区切りの中で適切に設定した時期の評価が重要である。

◎これは、上記の「学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」で言われていることと同じで、その通りだと思います。ただし、これを実行するためにはしっかりとした教材の研究、単元と単元との関連性などをしっかりと把握しなければいけないと思います。

③学校としての創意工夫の重要性

〇学年ごとの目標を適切に定め、2学年間を通じての目標の実現を図ること。
ー校長のリーダーシップの下、日頃からの教師間の共通理解を図る必要がある。
ー効果的で効率的な評価を行うためにも、学校として組織的に外国語教育を実施するために、
校内研究・研修の在り方も工夫する必要がある。

◎これは、多分他の教科では記されていない部分だと思います。「外国語教育」を導入するためには、当然このように「学校全体」の取り組みが必要なのです。だから、研修も直接担当する教員ばかりでなく、校長などの管理職もしっかりとした研修(外国語教育の意図・理念も含めて)が絶対必要なのです。しかし、この「外国語活動」が導入されたときは、管理職によって取り組みの仕方が全然違っていました。現在はそれほど格差はなくなっていますが、やはり
「全小学校教員」に対する研修が必要であると思います。

 

今回はこれでおしまいです。

なお、このガイドブックに関しては、
この後「授業研究編」「実習編」「理論編」などのパートがあるのですが、
それはあくまでも今までの「基本編」を土台として扱われているので、
あとの部分は省略しますので、ご了承ください。

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