「動詞語形変化を知る」3回目は、
「現在形」「過去形」についてです。
不規則動詞活用表
原形 | 現在形 | 過去形 | 過去分詞形 | -ing形 |
A-A-A型 | ||||
hit (打つ) | hit(s) | hit | hit | hitting |
A-B-A型 | ||||
run (走る) | run(s) | ran | run | running |
A-B-B型 | ||||
hear (聞く) | hear(s) | heard | heard | hearing |
A-B-C型 | ||||
be (〜である) | an / is / are | was / were | been | being |
さて、
それでは、動詞の「現在形」「過去形」がもつニュアンスについて
解説していきます。
動詞の「現在形」「過去形」がもつ共通の特徴
👉まずは、「原形」のニュアンスを再確認しましょう。
▶︎「動詞の原形」は、
「時」にも「人称」にも左右されない、「動詞としての機能を取り除いた形」
なので、そこから「実現していない」というニュアンスが生じ、「動詞のその意味の
エッセンスだけ」を表現する形なのです。
👉この対極にあるのが
「現在形」「過去形」という形です。
▶︎すなわち、
「時」や「人称」に左右される形、簡単に言うと「動詞としての機能」を
しっかりもった、「事実を述べる」という共通のニュアンスをもった形なのです。
事実を述べる「現在形」「過去形」
◎まずは、簡単に例文で確認してみましょう。
a. Take a walk for half an hour every morning.
「毎朝30分の散歩をしなさい。」
▶︎ take「原形」
– take a walk で「散歩する」というフレーズです。
この文は「命令文」で、動詞の原形から始まっていますが、
「これから – 散歩する」ことを命じているので、
「まだ実現していない」ニュアンスをもつ、原形を用いています。
b. My father is a math teacher.
「父は数学の教師です。」
▶︎ is:be動詞の現在形
– is は be動詞の現在形で、
「父が教師である」という現在の事実を述べています。
c. I met Takashi in the park yesterday.
「私は昨日公演でタカシに会いました。」
▶︎ met:meet の過去形
– met は meet の過去形で、
「タカシに会った」という過去の事実を述べています。
👉このように、
「原形」は「まだ実現していない」こと、
「現在形」「過去形」は「実際のこと – 事実を述べる」形なのです。
語形変化 | ニュアンス | |
原形 | 実現していない ▶︎その意味のエッセンスだけ | |
現在形 | 実際のこと – 事実を述べる | ・「現在」のことについて |
過去形 | ・「過去」のことについて |
それでは、
それぞれの「事実の述べる」形について確認しましょう。
事実を述べる「現在形」
👉「現在形」は、
「現在」に関する事実を述べる形なのですが、
注意しなければいけないのは、「現在」という一時的なものだけを
表現する形でない、ということです。
英語での「現在形」とは、
「今」を中心として、過去から未来へと広い期間に成り立つ状況を示す形 |
であり、あくまでも「現在」を中心とする形なのです。
例文を挙げて説明します。
ex.1 My father is a doctor.
「父は医者です。」
▶︎英語でこの文章は、
「もちろん、現在も彼は医者ですが、以前からも医者であって、
おそらくこれからも医者という職業を続けているであろう」
という「現時点での事実」を表現しているのです。
ex.2 Ken plays soccer three times a week.
「ケンは週に3回サッカーをします。」
▶︎英語でこの文章は、
「ケンは今も週に3回サッカーをしており、以前からも練習していて、
おそらくこれからもするだろう」
という「現時点での事実」を表しています。
※この文は、「主語が3人称」で「現在」の文のため、
3人称・単数・現在を表す -s が play について plays となっています。
ex. 3 Nurses take care of sick people in the hospital.
「看護士は病院で病気の人を看護します。
▶︎英語でこの文章は、
「看護士という人たちは、今も、そして以前からも、おそらくこれからも
病人を看護する」ことを意味し、nurses が複数形になっていることも
あり、一般的な事実を表現しています。
◎このように英語の「現在形」は、
「現在」を中心とした「広い範囲で成り立つ」事実を表現する形なのです。
事実を述べる「過去形」
「現在形」は、
「今」を中心として、過去から未来へと広い期間に成り立つ状況を示す形 |
でしたが、それと比べて
「過去形」は
「現在」と切り離された、距離感のある状況を示す形 |
となります。
例文を挙げて説明します。
ex.1 My mother was very angry then.
「私の母はその時とても怒った。」
※ was (is, am) の過去形:(is / am) – was – been
▶︎英語でこの文章は、
「【今】はどうかはわからない(関係ない)けど、
何かがあった時(過去の話として)は、とても怒った」
という、「過去の事実」を表現しています。
ex.2 We saw that movie last Saturday.
「私たちは先週の土曜日その映画を見た。」
※see (見る) の過去形: see – saw – seen
▶︎英語でこの文章は、
「過去の話として – 先週の土曜日に、映画を見た」
という、「過去の事実」を表しています。
ex. 3 Tom and Taro often played tennis on Sunday.
「トムとタロウは日曜日によくテニスをしました。」
※ play (〜のスポーツをする)の過去形:played [規則動詞]
▶︎この英文は、
「過去のある一定期間において – トムとタロウは繰り返し
テニスをした」という、「過去の事実」を述べています。
このように、
英語の「過去形」には、
「現在」と切り離された、距離感のある状況(事実)を表現するときに
用いる形なのです。
そこを意識して用いることが大事です。
さて、
「助動詞」にも「過去形」がありましたが、
そこにも共通のニュアンスを含んでいます。
おまけとして、
「助動詞の過去形」についても少し説明しますね。
助動詞の過去形がもつニュアンスとは・・・
・中学校では、下記の2つの助動詞の過去形が出てきます。
① can -過去形→ could
② will -過去形→ would
この2つが次のような形で教科書に出てきます。
ex.4 Could you tell me how to get to the castle?
「城への行き方を教えてもらえませんか。」
→ Can you 〜?より丁寧な依頼の表現
ex.5 Would you put this card in the box?
「このカードを箱に入れてもらえませんか。」
→ Will you 〜?より丁寧な依頼の表現
なぜ、can を過去形にした Could you 〜?
なぜ、will を過去形にした Would you 〜?
がより丁寧な表現になるのでしょう?
それは
過去形の「距離感」がもたらす丁寧な印象 |
があるからです。
なぜ「距離感」が「丁寧な印象」にあるのか?
このように考えれば、その理由がわかります。
◯「過去形」は現在との「距離感」を表す
↓
◯「距離感」とはその場から「遠い」というイメージ
↓
◯その「遠さ」は、ダイレクトに言うのではなく
ー「遠回し」な言い方になります。
↓
◯この「遠回し」の言い方が「丁寧」な印象へ
となるのです。
さらに助動詞は、
「頭の中で考えたこと」を表現する役割があるので、
(「事実」ではなく)「話者の気持ち」を、過去形にすることにより、
「より丁寧な表現」になるのです。
このような「過去形」のニュアンスも
とても大切な部分です。
これで、
「現在形」「過去形」のまとめは終わりです。
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