さて、4技能の最後は「書く力」です。
さっそく見て行きましょう。
「書く力」とは・・・小学校で
・文科省が示している「研修ガイドブック」において
「外国語(小学校5・6年)」での
「書くこと」の言語活動については下記のようにあります。
〇「書くこと」の言語活動では、
ー文字を書くことを十分に経験させることが必要である。「書くこと」の言語活動では、(イ)簡単な語句を書き写す活動 (ウ)基本的な表現を書き写す活動 (エ)例の中から言葉を選んで書く活動 が示されており、書き写しながら、自分の気持ちや考えなどを書いて伝え合うようにさせる。
※すべての児童に、綴りを覚えて書くことができるようになることを期待するのは不適切である。
【この内容に関して私見を述べると・・・】
◎「書き写す」ことだけをしていると、子どもたちは何も考えずに、ひたすら「手首」の運動をすることになります。中学校でもよく、「新出単語を10回ずつ書いてきなさい。」などのような課題を出す方がいますが、ほとんど効果はありません。せっかく書き写すのであれば、「発音しながら」書く、ということ を繰り返した方が効果があります。 ・結局、「書くこと」が「読むこと」につながっていかないと、単なる「単純 作業」の繰り返しになってしまうのです。文科省は、そんな言語活動を望んでいるのでしょうか。覚えなくても、「発音しながら」書き写していくと、「なんとなく英単語の読みコツ」のようなものがわかってくるはずです。 そのような指導が、子どもの興味・関心を高めていくのではないでしょうか。 |
・小学校では、
「話す」ことと「聞く」ことの活動を中心として、
英語学習の「音」に関する導入を早めることにより、
中学校での「読む」「書く」活動を
さらに表現豊かな「英語を使える日本人」の育成の土台づくり
をしてほしいと、文科省は考えているようです。
・以前の副教材で小学校5・6年生に
外国語活動を実施していたときでさえ、
子どもたちは「文字」に対する渇望
ー「文字」を読みたい、書きたいとう願望ー
はかなり高かったと思います。
それが、現在のように小学校3・4年生からの
指導が始まったとなれば、さらにその気持ちは、
さらに高まるか、高まりすぎて、逆に「英語嫌い」を
作ってしまうかもしれません。
「文字」に対しての興味・関心の高さを
いかに小学校で維持させ、それをうまく
中学校英語へとつなげて行くのか、
それが一番のポイントになると思います。
上記に示された「書く言語活動」では
「書き写す」ことを奨励し、
あくまでも「単語の綴り」を覚えさせることを
目標としてはいけない、のような表記になって
いますが、ここが一番心配な部分です。
他言語の「書く」ことに対する達成感というのは、
「聞けた単語、読める単語」を「書けた」
という部分にあるはずです。
この部分における
小学校の新副教材は配慮に欠けているように
思えます。
そして
表音文字である「英語」で「書ける」ようにするには、
やはり、「文字」と「音」の関係性をある程度
学習しなければなりません。
ーただ、書き写すだけでは、「その関係性」に
気づくことなく、ひたすら時間を浪費するだけです。ー
結局、
その部分(「文字」と「音」の関係性の学習)は、
全て、中学校に任せている形なので、
ここでも、
中学校の英語教師の指導力がものをいう、
ということになります。
それでは、
私の実体験から、5〜6年前の話で申し訳ありませんが、
中1では、「書く」活動について(特にどのように単語を
書けるように指導するのか)どんな指導がよくされて
いるのかをお話したいと思います。
中学校では・・・単語指導について
中1の英語では、
やはり「話す」「聞く」活動が中心となるので、
授業も活発で元気があります。
(「外国語活動」が導入された時の小学校5年生の授業と
同じような状況だと思っていいと思います。)
ところが、
本格的にテキストの内容に入り、
新出単語がどんどん増えてくると、
元気が無くなってきます。
それは、
単語を覚えられない
単語を書けない
状態が継続されるからです。
なぜかというと
単語を書けるようにする指導として、
よく中学校の教師たちは
①ひたすら英単語を書くことを宿題とする。
(単語を書く回数を決めて、ノートに書かせてチェックする。
または、次の時間に単語小テストを実施し、不合格のものは
再テスト、または間違い直しを数回やらせて終了)
②単語リストを予め配布しておき、単語テストを行う日時を
決めて、授業中にテストを実施する。
③朝自習の時間を、「英単語」練習の時間とし、
週末に「まとめテスト」を実施。不合格者は、放課後などを
使って、再テスト、再々テスト。
④ほぼ授業で「書く」ことを扱わず、新出英単語にも
「カタカナ」で「読み方(?)」をつけて終わり。
⑤単語は自分で覚えなさい、と言って全く触れない。
などの指導をするからです(中には指導と呼べないものもありますが)。
私が見た中では、
①のパターンで指導している先生が多かったようです。
(授業の5分程度がこのテストに使われるのは、私的には
もったいない気がします。)
③は、「朝読書」が導入されるまでは、どこの学校でも
大抵朝自習に「単語テスト」を入れていたような気がします。
これで、
本当に生徒は単語を書けるようになるのでしょうか?
いやかなり多くの生徒は
これだけでは、英語が「書けない」ので
いろんな苦労をするのです。
このような「英語が書けない」アレルギーを
解消するためには、
中学校の入門期には
どのような指導をした方が良いのか、
についてお話します。
中1での「書く」指導におけるポイント
小学校での「書く」ことに対する飢餓感に
うまく対応するためには、
やはり
「単語が読めて書ける」という感覚を
体感させることが一番大切だと思います。
そのためには
①小学校での外国語活動を土台とする
②フォニックスの基本を学ぶ
③3文字単語を読めて書けるようにする
のような部分から始めて、
自分が読める英文は、書けるような
成功経験を積み重ねていく必要があります。
フォニックスの入門期の学び方については、
「読み力」のトレーニング②で詳しく説明して
いますので参考にしてください。
「読む力」も
「書く力」も
「音声」と「文字」を一致させる部分では、同じ学習が必要なので
土台作りは同じです。
つまり、
「読む力」のトレーニングでは、 「文字」を見て →「フォニックスを活用して」→「音声」にする 「書く力」のトレーニングでは、 「音声」を聞いて →「フォニックスを活用して」→「文字」にする |
という相互作用の関係になっているのです。
このような学習を通して、
小学校の活動してきたような単語を少しずつ
書けるようにして、いくと
「音」が正確に聞けると、「単語」が書ける!
という状況になって行きます。
(私は、フォニックスの帯学習の時間に、本当に少しずつ
「書ける」という体験をさせてきました。)
ぜひとも
中1の入門期は、このような「書く力」のトレーニングを
導入してもらいたいと考えます。
「書く」ことのトレーニングの段階
このように考えていくと、
「書く」力をトレーニングするには、
「読む」力、「話す」力のことも共に配慮しながら
指導していかなければいけないことになります。
ここでは「書く」ことの指導にできるだけ限定して
お話して行きます。
「書く」ことのトレーニングを
段階的に示すと
①小学生の段階では ・アルファベットの大文字、小文字が識別することができる。 ・英語を書き写す活動の中から、なんとなく「音」と「文字」の関係性に 気づくことができる。 |
②中学校の段階では ・フォニックスの基本を学び、「読む」「話す」ことと関連付けながら、「書く」力を高めるために、 👉3文字、4文字単語を正確に書けるようにする 👉教科書の英文の穴あきを埋めることができる 👉教科書を用いての音読筆写ができるようにする 👉スピーチの英文をしっかり書けるようにする 👉教科書の暗唱ができたら、英文の間違い探しをする 👉教科書の日本文を見て、英語に置き換えることができる 👉与えらえたテーマに沿って、自分の考えをまとめ発表することができる 👉上記の活動をできるだけ「読む」「話す」活動と密接に関連付けさせる させながら「書く」を指導する必要がある |
ということなると思います。
今回は、
「書く」こととは、どのようなものであるかと、
そのトレーニング方法を列挙しただけで終わりましたが、
次回からは具体的な話をしていきます。
「『書く力』のトレーニング」は「①」から「⑤」まであります。
時間のある方は、下記をクリックし「②」もお読みください。
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