代名詞②〜it の実力

代名詞の2回目。
今回は、代名詞 it を扱います。

代名詞 it は、中1の教科書だと

Q: Is this your pen?
A: Yes, it is. / No, it isn’t.

Q: What is that?
A: It‘s an apple.

のように「質問」に対して
主語(赤線の部分)が「1個のもの」の時に、
「答える時」は、それを it に代えて使うもの、
として登場してきます。

もちろん、
このような使い方は、it としての基本的なものですが、
この it には、まだ秘めた力があります。

今回は、その it の実力について解説していきます。

①前に出たもの・内容を受ける it

・it の一番基本的な役割は、
前に出てきた1つのものや内容を受ける」です。

例文を見てみましょう。

a. Taro wrote a letter in English and sent it by airmail.
(タロウは英語で手紙を書いて、それをエアメールで送った。)

b. People say that this dog can sing, but I can’t believe it.
(この犬は歌うことができると人は言うが、私は信じることができない。)

▶︎ a の例文では、
「前の英文」で、「手紙」が、出てきて、
それが1通の手紙なので、👉 it で受けて、文をつなげています。

▶︎ b の例文では、
「前の部分」で、「犬が歌える」という話題が出てきて、
それを1つの「内容」として、👉 it で受けて、文をつなげています。

it は「単数」を「受ける」という制限はありますが、
he や she のような性別はないので、その使用範囲は広くなります

そのことが、
②の「その場の状況を受ける」it へつながっていくのです。

 

②その場の状況を受ける it

・例えば、中学校の少し長い英文の物語であれば、

It‘s getting out there. (外は暗くなってきた。)

などのような表現が出てきたりします。

※この it は、
辞書的には「明暗」を示す it などと区別されるのかもしれませんが、
簡単に言うと「周りの状況・雰囲気」を、it で受けて表現しているにすぎません。

例文を挙げます。

a. It‘s warm today.(今日は暖かい。)

b. How’s it going?(調子はどうですか。)

▶︎ a の例文では、
「自分の周りの状況」をit で受けて、「寒暖」について表現しています。

▶︎ b の例文でも、
「相手の周りの状況」を it で受けて、「その状況がどのように進んでいるのか→調子はどう?」と聞いていることなのです。
(会話でよく使われる表現です。)

※このような英文を見ると、
native speaker は、
なんとなく「周りの状況」について話したいな、と思う場合は、
男女の性別とは無関係の代名詞 it をまず先に主語に持ってきて、
表現する(英文の基本は、主語+動詞なので、どうしても主語は必要なので)
というように頭の中で考えて、文を構築しているように思えます。

👉この「状況を受ける」it は、
当然「時」や「天候」「距離」なども表現することができます。

時、天候や距離も受けることができる it

・先に例文を挙げましょう。

a. It‘s rainy today.【天候】
(今日雨です。)

b. It‘s six o’clock now.【時間】
(今6時です。)

c. It‘s about three kilometers from here to the library.【距離】
(ここから図書館まで約3キロあります。)

▶︎ a の例文では、
「身の周りの外の状況」をみて(雨が降っている)、それを it で受けて「天候」について表現しています。

▶︎ b の例文では、
「身の周りの時間的な状況」をみて(ちょうど6時だ)、それを it で受けて「時刻」について表現しています。

▶︎ c の例文は、
「ここから図書館までいく状況」をみて(約3kmか)、それを it で受けて「距離」について表現しています。

※このように it は、その場における様々な状況を受ける言葉として、
便利に使われているのです。
(これは、「時間」を表す it、「明暗」の it などは、おそらく「後付け」の説明。
基本は、性別と無関係の it は「状況」を示す便利な単語として native speaker には
認識されているようです。)

③形式主語の it

・「形」だけの主語 it 。
教科書的な説明では、「形式主語」と呼ばれますが、
実はこれも「状況」を表す it のことなのです。

例文を挙げます。

a. It is very important to study English.
(英語を勉強することは、とても大切です。)
※ it = to study English [ to 不定詞 ]

b. It is difficult that we understand what he says.
(彼が言うことを私たちが理解するのは難しい。)
※ it = that we understand what he says [ that 節 ]

▶︎ a では、
「英語を勉強する」状況を先に思い浮かべ、それを it で受けて、
It is very important と言い切り、その後に、「それが何であるか」を
to 不定詞を用いて説明を後に加えています。

▶︎ b では、
「私たちが彼が言うことを理解する」状況を先に思い浮かべ、それを it で受けて、
It is difficult と言い切り、その後に、「何が難しいのか」を
that 節を用いて説明を後に加えています。

◎このように、
「形式主語の it 」とは、
話者が「最初に思い浮かべた状況」を it で受けて、結論を先に言い切り、
その「その状況」を後から説明を加えた形なのです。

【おまけ】a の例文で「私にとって」と表現を加えたい場合・・・

a. It is very important to study English.
👉 It is very important for me to study English.
となります。
※「〜にとって」と、この形で「人」を加える場合は、
to 不定詞の前に for +人(代名詞であれば目的格)を置きます

形式主語の it は一般動詞との組み合わせもある

・中学校で学ぶ「形式主語」の文は、
be動詞の文(上記の a, b の文も動詞もそうです)が多いのですが、
一般動詞の場合ももちろんあります。

a.  It takes about 4 hours to get to Hachinohe.
(八戸に行くには、約4時間かかる。)

b. It will cost a lot of money to get such a mansion.
(あんな大邸宅を手に入れるには多大なお金がかかるだろう。)

▶︎ a の文では、
「八戸に移動する」状況を思い浮かべ、それを it で受けて、
「それには約4時間かかる」と先に言い切り、その後に「何するのに4時間かかるのか」を
to 不定詞で説明を加えています。

▶︎ b の文では、
「すごい大邸宅を見て、それを買う」状況を思い浮かべ、それを it で受けて、
「すごいお金かかるだろうな」と先に言い切り、その後に「何するのにお金がかかるのか」を
to 不定詞で説明を加えています。

◎このように、
「形式主語 it 」の次が、be動詞であろうが、一般動詞であろうが、
先に「その状況」を思い浮かべ、それに必要な表現を先に言い切り、
後で、to 不定詞や that 節で説明するという形は全く同じです。
(that 節の他に、if 節、whether 節、wh 節なども来れますが、
そこのさらに詳しいことは、「高校」のカテゴリーで別に扱います。強調構文も含めて)

it の基本イメージは、「受ける」

・このように考えて行くと、
it の基本イメージは、「前の内容やもの、状況を受ける」というものなのです。

②で説明した「天候」「時間」「寒暖」「明暗」「距離」なども、
「身の周りの状況」を it で受けて表現したもの。

③の「形式主語」は、
「頭の中で思い浮かべた状況」を it で受けて、その具体的な説明を、
後から、to 不定詞や that 節で説明を加えているのです。

男女の性別とは、関連のない it だから、
便利で、様々な表現に使われているのです。

これが、it の実力です。

今回はここまで。

「代名詞」は①から③まであります。興味があるものがありましたら、
どうぞ下記をクリックしてお読みください。
代名詞①基礎編
代名詞③ one の使い方

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