大学入学共通テストで活用されるはずだった民間試験の結末

「民間テスト」のついての最後です。
どのような結末を迎えたのか、確認したいと思います。

当初の「センター試験」から「大学入学共通テスト」への移行の流れ

👉当初は、下記のような日程で、英語の民間試験が導入される予定でした。

期 間 移行内容
〜2019 年度まで(2020年1月) 大学入試センター試験終了
2020年度〜2023年度(2024年1月)まで 大学入学共通テストと民間試験の併用
2024年度(2025年1月)〜 完全に民間試験に移行

この「民間試験」導入に当たって、
受験生の「登録情報」や「受験情報等」を管理するために、
全資格・検定試験共通で個人を特定するための「共通ID」を取得する必要があり、
その「共通ID」を基にして、
「大学入試英語成績提供システム」を運用していく、という形で実施する予定でした。

その「共通ID」の申請開始日が、2019年11月1日でした。
(「共通ID」を申請するのは、当時の「高校2年生」 – 2020年度の大学入学共通テストまでに
[2021年1月]「民間試験」を受けて、その結果を反映させる予定でした。)
👉すなわち、この「共通ID」の申請が開始されると、
「民間試験導入」へと実際に舵を切った、ということになるのです。

この2019年11月1日が近づくにつれて、批判がヒートアップしていきます。

「共通ID」申請開始日へのカウントダウン

👉2019年当時の文部科学省大臣は、柴山大臣です。
「民間試験導入」への批判は、SNSでもヒートアップし、柴山大臣もそれに対応していく中で
さらに炎上していきます。

柴山大臣期間 (2018・10/2 〜 2019・9/11)

①2019年8月16日

▶︎柴山文部科学大臣が、ツィッターで、英語入試改革に反対する ツィートに対して、
「サイレントマジョリティは賛成です」と返す。

②2019年8月24日

▶︎埼玉県さいたま市の大宮駅前で知事選の応援演説をしていた柴山大臣に対して、
民間試験導入の反対を訴えた大学生が警察によって強制排除される、という事件が勃発

言論弾圧?

これに対して「言論弾圧」との批判の声があがるが、
柴山大臣は会見で「(演説会場で)大声を出す権利は保障されない」と反論し、
「言論の自由」論争になる。

③2019年8月30日

▶︎ツィッターの呼びかけで、文科省前での抗議活動に発展

④2019年9月3日 – 記者会見で

▶︎大学入試での英語民間試験の導入について
「まだ確定していない部分があることは事実」と認めたうえで、引き続き「導入の見送りなどは
検討せず、情報公開しながら進めていきたい」との考えを述べた。

萩生田大臣期間(2019・9/11 〜 2021・10/4)

①2019年10月4日

▶︎国立大学協会が、「英語の民間試験を全受験生に課す」ことなどを示したガイドラインを公表した
ことに対して、その撤回を求める抗議行動が、協会前で実施された。

👉毎週金曜日の夕方になると文科省前で、
教員、高校生、研究者が次々とマイクを握って民間試験導入についての意見を述べる

②2019年10月24日

▶︎BSフジの番組で、英語の民間試験導入に関わる不公平性を問われ、
「身の丈に合わせて頑張って貰えば」と萩生田大臣が発言

③2019年10月29日 – 記者会見で

▶︎BSフジでの発言を撤回した上で、改めて陳謝

④2019年10月30日 – 衆議院文部科学委員会の冒頭で

▶︎同じくBSフジでの発言について、
「どのような環境下にいる受験生でも、自分の力を最大限発揮できるよう、自分の都合に合わせて
適切な機会を捉えて、2回の試験を全力で頑張ってもらいたいという思いで発言した」と釈明、
そして陳謝。

いよいよ、共通I D申請開始日:2019年11月1日 ▶︎延期発表

👉結局このテレビ番組での発言が「引き金」となり、
「英語民間試験導入」の延期を発表
– 共通ID申請中止

その後の動き

①2019年11月5日

▶︎本件に関する衆議院文部科学委員会が開催
👉その後も、国語と数学の記述式問題の採点にめぐる批判が強まる

②2019年12月17日

▶︎萩生田文科大臣「国語と数学の記述式問題導入を見送る」と発表

③2020年1月 最後の「大学入試センター試験」終了

④2020年1月15日「大学入試のあり方に関する検討会議」設置

👉「大学入試英語成績提供システム」及び「大学入学共通テスト」における国語・数学の記述式に係る今般の一連の経過を踏まえ、大学入試における英語4技能の評価や記述式出題を含めた大学入試のあり方について検討を行うため、「大学入試のあり方に関する検討会議」を設置することとなった。

⑤2021年1月 第1回「大学入学共通テスト」実施

👉「英語民間試験導入」、国語と数学の「記述式問題」という二本柱を失ったまま実施
(※当初の予定では、この第1回「大学入学共通テスト」から、「英語民間試験」を併用する計画
であった。)

⑥2021年7月「大学入試のあり方に関する検討会議」が困難であると提言

👉「検討会議」が「英語民間試験導入」「記述式問題導入」が困難であるという提言を
萩生田大臣に提出
【提言内容】
・「公平性」などに課題が残ることから、いずれも「実現は困難」と結論
・可能な限り「透明性」を確保し、国民の理解を得ながら結論を導くことが重要
・理念や結論が先行し、実務的な課題の解決に向けた検討が不十分にならないようにすべきだ

2021年7月30日 文科省が正式に2本柱を断念と発表

👉2025年1月以降の大学入学共通テストを巡り、
萩生田光一文部科学相は30日、記述式問題や英語民間試験の導入断念を正式に表明した。入試改革の「2大看板」は再び頓挫し、当面は現行の試験方法が維持される。文科省は今後、記述式などを個別入試で積極的に取り入れる大学への財政支援を進める。

期 間 移行内容
〜2019 年度まで(2020年1月) 大学入試センター試験終了
2020年度〜2023年度(2024年1月)まで 大学入学共通テストと民間試験の併用
2024年度(2025年1月)〜 完全に民間試験に移行

最後に

👉かくして、文科省は、
2025年における「英語民間試験」完全導入を断念したわけです。

この国は、
特に教育に関しては、トップダウンで「上」の意向を「下」に伝えることしか、
考えていませんし、教育に関する予算の割合が低いのに、「選挙」になると
「教育のために」などとおっしゃる方が多いようです。

「検討会議」の提言内容にあったように

・可能な限り「透明性」を確保し、国民の理解を得ながら結論を導くことが重要
・理念や結論が先行し、実務的な課題の解決に向けた検討が不十分にならないようにすべきだ

ということに留意し、
「国」の礎となる「教育」にもっと、「時間」と「お金」をかけて
「子供」たちを大切に育てて欲しいと強く思います。

 

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