基本編の第3章は
「小学校外国語教育の内容」というタイトルで、
ここでは「外国語活動」と「外国語」に分け、
その目標の3つの柱
「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」におけるポイントを述べています。
なお、3つ目の柱「学びに向かう力、人間性等」は、その前の2つの柱を
育成することを通して培われていくものなので、3つ目の柱についてのポイントは記されていません。
①外国語活動における2つの柱のポイント
「知識及び技能」におけるポイント
・項目1「言語を用いて主体的なコミュニケーションを図ることの楽しさや大切を知ること」から
→児童が伝えたい相手、伝えたい内容を工夫し、伝え合う必然性のある場面設定をして活動を行わせること。
◎中学年では、「日本語」で第三者に自分のことを正しく、正確に伝わるようにすることが学習指導要領の目標となっている時点で、それを「外国語」で表現することは難しいと思います。また、「必然性」と言う言葉は、現在の「外国語活動」でもキーワードとなっていますが、これを創り出すために、現場の先生方は大変苦労しています。特に、いわゆる「外国人」が地域にそれほどいない地方では、かなり「無理のある」設定をせざるを得ないのが現状です。
・項目2「英語の音声やリズムなどに慣れ親しむとともに、日本語との違いを知り、言葉の面白さや豊かさに気付くこと」から
→英語の単語を何度も繰り返すことにより、音声やリズムに気づかせるとともに、英語と日本語を比較して、言葉の造りや成り立ちについての共通点や相違点に気づかせること。
◎この章の最初には、『言語活動と切り離して、~「パターン・プラクティス」のような機械的な練習を求められていない。」と記されていますが、やはり言語習得するためにはどうしてもある程度の「繰り返し」は必要なのに、それを「目標」に合わせた、無理のある「指導」をさせようとするので、こんな表現になるのです。
※言語は、当然「使う」ために学ぶのであるから、それを否定する(気づきとか興味・関心を深める部分だけを扱っている)ところから小学校の外国語教育をスタートさせている時点で、この英語教育改革では、「外国語」を身に付けることはできないでしょう。
・項目3「日本と外国との生活や習慣、行事などの違いを知り、多様な考えがあることに気付くこと」から
→児童にとって身近な事例を扱い、日本では「当たり前」のことが外国では「当たり前ではない」などのような多様な考えがあることに、気づくきっかけをあたえること。
◎これは、「以前」総合的な学習の時間で行われていた指導内容だったと思います。資料や、参考映像や画像を活用すれば、身近に異なる文化をもつ人々がいない地域の子供たちも「気づく」ことはできると思います。中学年は、この項目の部分を中心に「外国語活動」を行うべきだと私は思います。
・項目4「異なる文化をもつ人々との交流などを体験し、文化等に対する理解を深めること」から
→ALTや留学生、地域に住む外国人など、異なる文化をもつ人々との交流を
通して、文化などの理解を深め、世界に様々な言語や文化があることに気づかせること。
◎これも項目1と同じ。異文化交流が簡単にできるような地域では、「理想的な」気づきを創り出すことは簡単ですが、そうではないところも多いのではないかと思います。
「思考力、判断力、表現力等」におけるポイント
・項目1「自分のことや身近で簡単な事柄について、簡単な語句や基本的な表現を使って、相手に配慮しながら、伝え合うこと」から
→「相手に配慮しながら」がポイント。「相手が」聞きたいこと、理解しゃすい表現をどうすればよいのかを考えて、いかに自分が表現すればよいのかを求めている。
◎この文言だけ読めば「なるほど!」と思うかもしれませんが、これはあくまでも「外国語」による活動内容におけるポイントです。ここでは、「実物を使ったり、ジェスチャーを交えたり」という表現もありますが、「外国語」で「相手を配慮しながら」コミュニケーションをしようとする態度を身に付けて欲しいようですが、これは小学校中学年の「国語」や普段の生活でも求められるものではないでしょうか。母語である「日本語」と「外国語」の2つの言語で同時に同じレベルの程度のコミュニケーションの力を求めることは、可能だとしても、かなり無理があるのでは?と思わざるを得ません。
・項目2「身近で簡単な事柄について、自分の考えや気持ちなどが伝わるよう、工夫して質問をしたり質問に答えたりすること」から
→「自分の考えや気持ちなどが伝わるように」がポイント。自分の気持ちを表すのにどのような言い方をする工夫も必要である。
◎これも項目1と同じです。まるで母語に対する指導内容にしか、私は思えないのですが、気のせいでしょうか?
<第2言語を学ぶにあたって、思うこと>
ー第2言語(母語でない言語)を学ぶ時、
その言語が、母語とどのような関係があるかは、
大きなポイントになると私は思います。英語やドイツ語のような
単語が全く別であっても基本的な文の構造<主語+動詞~>が
同じものを第2言語として学ぶ場合は、基本的に自分の母語の
単語を第2言語の単語に置き換えていけば、ある程度
コミュニケーションはできると思います。しかし、英語と日本語
のように基本的な文の構造が全く違うものを学ぶ場合は、
まず、母語である「日本語」の基本的な骨格をしっかり学んでから
第2言語を習得していかないと、母語の習得に悪い影響を与えると
思います。そのような部分の違いを知らないのか、知らないふりを
しているかのような文科省の態度だと私は思います。
今回はここまで。
「外国語」については次回でお話します。
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