「分詞とは?」の3回目。
前回は、
「現在分詞」について解説しましたが、
今回は「過去分詞」についてどんな働きをするのかを見ていきましょう。
まず最初に、
簡単に「分詞」についての特徴を振り返ってみましょう。
分詞とは
・「過去分詞」を、英語では、
past participle
と言います。
この participle という単語は、
① part(部分、役目)や
② participate(参加する、分け前をとる)
をその語源として持ち、そこから、
「それぞれの役目を分け持つ」という意味が本来あったのです。
それぞれの役目とは?
・ここで言う「それぞれの役目」とは、
「動詞」と「形容詞」の2つの機能のことを意味しています。
すなわち、
「分詞」=「動詞」と「形容詞」の2つの機能を持つもの |
ということなのです。
◎過去分詞は、
規則動詞であれば -ed の形、不規則動詞であれば、3番目の変化の形で、
「動詞」と「形容詞」の2つの機能を持っているのです。
形 | 呼び名 | 機能 |
規則動詞 -ed 不規則 3番目の形 |
過去分詞 | 「動詞」の機能 |
「形容詞」の機能 |
過去分詞の特徴
・過去分詞がもつ基本イメージは、
「過去における結果の状態」で、
そこから2つの「ニュアンス」が生まれます。
👉これは、古い英語で次ような形の英文があったところから生じているようです。
◎ I have my work finished.
「私は自分の仕事を終わらせたよ。▶︎私の仕事は終わったよ。」
👉ここでの過去分詞 finished は、視点の違いによって、ニュアンスが変わります。
①行為者( I ) から見た場合は▶︎「仕事が完了した状態」:finished→「完了形」
②行為の対象( my work ) から見た場合は▶︎「完了された状態」:finished→「受動態」
※このようにして、「過去分詞」は、
基本的に「過去における結果の状態」を表すもので、
その成り立ちから①「過去に完了した状態」と②「過去に〜された状態」の2つを意味
するようになったのです。
過去分詞の基本イメージ「過去における結果の状態」そこから ▶︎①「過去に完了した状態」②「過去に〜された状態」の2つの意味が生じる |
例文で確認してみましょう。
a. This camera was used by my father.
(このカメラは父によって使われていました。)→受動態
b. I have just written this letter.
(私はたった今この手紙を書き終えたところです。)→現在完了
c. Look at these fallen leaves.
(これらの落ち葉<落とされた葉>を見なさい。)
d. Kumi loves the songs sung by this singer.
(クミはこの歌手によって歌われた歌が大好きです。)
▶︎ a の例文では、
過去分詞=used が be動詞( was ) を伴うことによって「過去に〜された状態」:受動態を
表現しています。
▶︎ b の例文では、
過去分詞=written が have を伴うことによって「過去に完了した状態」:現在完了を
表現しています。
▶︎ c の例文では、
「過去に落とされていた→落ちた状態」の目の前の葉を表現しています。
▶︎ d の例文では、
「過去に[この歌手]によって歌われた状態」の歌をクミが大好きであることを表現しています。
◎このように、
過去分詞は、「過去のおける結果の状態」を表すもので、表現の仕方によって、「過去に完了した状態」と「過去に〜された状態」を意味するのです。
それでは、
次に、この過去分詞を「動詞」の機能、「形容詞」の機能別に見てみましょう。
a & b「動詞」の機能をする過去分詞
・上記の a と b の例文が「動詞」の機能をする過去分詞の使い方ですが、
まずそれについて解説します。
( a. This camera was used by my father.) →受動態
( b. I have just written this letter.) →現在完了
・動詞の機能する過去分詞には、
その意味が2つあることから、それに対応して2つの文の形があります。
1つが、a の文の受動態(過去分詞は「過去に〜された状態」の意味)で、
もう1つが、b の文で現在完了(過去分詞は「過去に完了した状態」の意味)の文です。
※高校になると「過去完了」「未来完了」なども学びますが、
基本的な考え方は同じです。
be +過去分詞(受動態)
まず、最初に「受動態」についてです。
受動態では、be動詞 の後に「過去分詞」がやってきます。
その形になることにより「過去に〜された状態」を表現することができます。
→ be動詞 +「過去分詞」
・・・be動詞が is / am / are の場合は、*現在の受動態
・・・be動詞が was / were の場合は、過去の受動態 となります。
例を挙げます。
① Japanese is studied by many people.
(日本語はたくさんの人々により学ばれている。)
※Japanese に「焦点」(行為の対象)
② Mona Lisa was painted by Leonardo da Vinci.
(モナリザはレオナルド・ダ・ピンチによって描かれた。)
※こう説明していくと、
①のような「現在の受動態」もあるよね?と疑問に思う方もいるかと思います。
「過去分詞」は、基本的には「過去の状態」を示すものなのですが、
👉特に「行為の対象(受動態であれば「主語」)」に
「焦点」が当たっている場合は、「過去の状態」というニュアンスよりも、
「〜される」という「行為を受ける」ニュアンスが強調され、「現在」での受動態も
生成されます。(もちろん、「未来」や「完了形」の受動態もあります。)
▶︎こういう部分をひっくるめて、結局簡単に
中学校では、「be動詞+過去分詞:〜される」と教えられるわけです。
※こう教えられるので、「過去分詞」の「過去」が一体何なのかが
わからなくなるのです。
このように、
be動詞+過去分詞 の形で、
受動態を意味し、過去分詞は「動詞」の機能を果たすことができます。
◎「受動態」について、もっと具体的に知りたい方は下記をクリックしてご覧ください。
👉①基礎編
👉②受動態基本
👉③受動態応用編
👉④説明する過去分詞
👉⑤番外編:後ろに並べる説明
have/has +過去分詞(現在完了)
もう1つの「動詞の機能」「現在完了」についてです。
現在完了は、過去分詞の前に have/has を伴いますが、
そこには、have の基本イメージが大きく意味に影響を与えています。
◎ have のイメージ自分のナワバリにもの・状態・状況などが現在に存在する |
そして、過去分詞には次のような意味がありましたね。
◎ 過去分詞のニュアンス👉「過去に完了した状態」 |
ここから、
現在完了の形( have/has +過去分詞)で、
「過去に完了した状態(過去分詞)が現在の自分の状況に存在する(have)」を表現することができ、これが「現在完了」の基本イメージとなります。
→ have/has +「過去分詞」=現在完了
※この形からも推測できますが、
過去完了= had +「過去分詞」
未来完了= will have +「過去分詞」
〜の形で、「過去完了」「未来完了」を表現することができます。
例を挙げます。
① Ken has lived here for six years.
(ケンは6年間ずっとここに住んでいます。)
② I have never eaten hoya before.
(私は以前にホヤを一度も食べたことがありません。)
▶︎ ①の例文では、
「過去にここに住んでいた状態( lived )」が 6年間継続し、「現在もその状態( have )」であることを表現しています。
▶︎ ②の例文では、
「過去にホヤを食べた状態 ( eaten )」が「今までの中で ( has )」一度もないことを
表現しています。
このように、
have/has +過去分詞 の形で、
現在完了を意味し、過去分詞は「動詞」の機能を果たすことができます。
c & d「形容詞」の機能をする現在分詞
・上記の c, d の例文は、「形容詞」の機能をする過去分詞の使い方ですが、
それを詳しく解説していきます。
(基本的には「現在分詞」の「形容詞」の機能の仕方と同じです。)
※過去分詞には、2つの意味がありますが、
もともと、「過去に〜された状態」を意味する「過去分詞」は、
「行為の対象」に説明を加える機能を果たしています。
▶︎そのため「形容詞」の機能を果たす「過去分詞」は、
「受動態」の意味「〜される/された」で使われます。
c 形容詞のように単語だけで説明を加える場合
・まずは、例文 c のように過去分詞が形容詞にように説明を加える場合です。
形容詞の使い方と比較すると理解しやすいので、両方の例文を挙げて、解説します。
( c. Look at these fallen leaves.)
先に形容詞の例文を挙げます。
① The old man is Akira.(その年老いた男)
② Don’t touch the new box. (その新しい箱)
赤い文字が形容詞で、黄色いマーカーは説明が加えられている名詞です。
・一目でわかるように、形容詞がその単語だけで名詞に説明を加える場合は、 その前に「形容詞」を置くという規則性があります。
→ 「形容詞」+名詞
これは、過去分詞でも同じで、
「現在分詞」だけで、名詞に説明を加える場合は、名詞の前に「現在分詞」を
置きます。
→ 「過去分詞」+名詞
例文を挙げます。
③ This boiled egg is still hot.(このゆでられたタマゴ▶︎このゆでタマゴ)
④ Look at the broken window. (壊された窓)
※このように「過去分詞」は全く「形容詞」と同じような使い方で
「形容詞」の機能を果たすことができます。
d 場所や時などの表現を含む説明を加える場合
・次は、例文 d のように過去分詞が名詞の後ろから説明を加える場合です。
「場所や時などの表現を含む説明」の加え方と比較すると理解しやすいので、両方の例文を挙げて、解説します。
( d. Kumi loves the songs sung by this singer.)
先に、場所や時などの表現を含む説明の加え方の例文を挙げます。
① Can you see a bird near the bench?(ベンチの近くの鳥)
② There were a lot of fans in the stadium.(スタジアムのたくさんのファン)
赤い文字が場所や時などを含む説明で、黄色いマーカーは説明が加えられている名詞です。
・これも一目でわかるように、2語以上で場所や時などを含む説明を加える場合は、その名詞の後ろに置くことがわかります。
→ 名詞+2語以上で場所や時などを含む説明
これは、「過去分詞」を含む場合も同じで、
過去分詞が入り byを伴い行為者を示したり、場所や時の説明を加える時も、名詞の後ろにその説明を置きます。
→ 名詞+「過去分詞」を含み行為者を示したり、場所や時などの説明
例文を挙げます。
③ Cars made in Japan is very popular.
(日本で作られた車▶︎日本製の車)
④ This is a book written by Natsume Sosek.
(夏目漱石によって書かれた小説)
※このように「過去分詞」は「2語以上で場所や時などの含む説明」を加える場合と同じように「形容詞」的な「説明を加える」機能を果たすことができます。
これで、
「分詞とは?」は終了です。
「分詞とは?」は「その1」から「その3」まであります。
興味がある方は、下記をクリックしてご覧ください。
👉その1(用語の意味)
👉その2(現在分詞)
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