大学入学共通テストで活用される民間試験その5

見えてきた具体的なシステム

文部科学省は、2019年4月5日に
「大学入学共通テスト実施方針(追加分)ガイドライン」に公表しましたが、
逆に言えば「追加分」を出さなければ行けないほど、このシステムを実施するにはかなり、無理があるということを示しているようです。

そこで、今回は、まず最初に
どのように「民間試験」を活用するのか、そのシステムを確認していきたいと思います。

①大学入試英語成績提供システムの活用

「大学入試英語成績提供システム」とは、
今回の「共通テスト」の英語で「民間試験」が活用されることにより、
必要となって構築されたシステムのことです。
👉このシステムは、次のようなことを行います。
・受験生が、受けた「民間試験」での成績を集約・管理をする
・必要に応じて必要な大学に「その成績」を提供する
・受験生に対してその「成績証明書」を発行する
👉このシステムによって
▶︎大学が「成績証明書」から「成績情報」を入力する手間をなくす
▶︎高校側も、在籍する受験生が「どの民間試験」を受けたかを確認できる
〜という利点があります。

・この「システム」を利用する(利用しなければいけないのですが)
ためには、「共通ID」が必要となります。

②共通ID

受験生に対しては
「大学入試センター」が個別に「共通ID」を発行します。
・その後、受験生が「民間試験」の受検を申し込む場合には、
所定の欄には「共通ID」を記入します。
▶︎そうすると先ほどお話した「大学入試英語成績提供システム」を利用することができます。
【共通ID の申し込みと発行について】
・2年生の11月頃の2〜3週間を使って、高校毎に共通IDを「大学入試センター」へ申し込み、12月〜翌1月を目処に、共通IDを発行する。

③2回のチャンス

・共通IDを手に入れた生徒は、
高校3年時の、4月から12月の間に2回の民間試験を受検することができます。
※この2回は、同じ「民間試験」であってもいいし、異なるものでもOK
※受検時に共通IDを記入しなければ、成績を送付できないし、また一旦
共通IDを記入したら、その試験結果を取り消すことはできません。

👉大学の試験の種類、日程などにより、
AOや学校推薦型の入試で、この「民間試験」の結果を必要とする場合は、
その期日に合わせて、
▶︎「9月以降」
▶︎「11月以降」
▶︎「翌年2月以降」
の複数回にわたって、大学に提供する予定になっているそうです。
※そのため、
受験生は、「自分がいつ、どの試験」を受けるので、「いつの民間試験を受検」し、「その成績をいつ大学に提供してもらう」のかをしっかり計画を立てて、
受検しなければいけないことになります。

このような流れを抑えた上で、
私がもし現在高校2年生であったら、どのような動きになるのかを
シュミレーションしてみます。

民間試験を受けるシュミレーション

【設定】

・私 Kei は、東北の地方都市Hに住む、高校2年生。
中学校時代に英検3級を取得したが、その後は一切英語の民間試験は受けていない。大学は、同じ地区にある国立大学Aを第一希望としている。

高2の今の時期

・来年度から「民間試験」が活用されることから、大学入試のシステムの変更などについて、学校からも指導はあったが、自分でも調べることにした。
▶︎国立A大学は、
受験生に民間試験の受験を義務付け、「共通テスト」の英語の筆記試験の満点の
2割を最高とした6つの段階に分けて点数化し、評価に加える。
※来年度の受験は「民間試験」への移行期間として大学入学共通テストと民間試験が併用されます。
▶︎同じ地区にある公立B大学は、民間試験の受験を義務付けない。

・第1志望の国立大学のことを考えて、
「民間試験」について調べてみた。

名称 種類 検定料(税込み) 国内の年間受験者(人)
ケンブリッジ英語検定 8種類 9,720 ~ 25,380円 非公表
実用英語技能検定 5種類 5,800 ~ 16,500円 340万
GTEC 4種類 6,700 ~ 9,720円程度 102万
IELTS 1種類 25,380円 3.7万
TEAP 2種類 15,000円 2.5万
TOEFL 1種類 235米ドル 非公表
TOEIC 1種類 15,985円 ①聞く・読む 250万
②話す・書く 3.2万

・受験生は、4月~12月の間にいずれかの試験を最大2回受験できる
・検定料は、6,000円~25,000円程度の幅がある
・比較的安い GTEC と英検は、実施体制を厳格にするため 3~8割程度高くなる
・現時点では、英検、GTEC、TEAP の3つだけが「全都道府県」での受験実施が可能
・国立大学協会は配点割合を「英語全体の1割弱」に押さえる案を提示

民間テストを選択する

・「全都道府県」で受験できるのは、英検、GTEC、TEAP の3つだが、
TEAPは検定料が高いので、選択肢から削除。
▶︎英検、GTECのどちらかになるが、「私」が通っている高校では英検を
校内で実施していたので、英検を受検することとする。
[注]英検は、この「民間試験」のために各都道府県に「テストセンター」を設置して、そこを受検会場とする予定。
[注]GETECは、各大学や高校を「受検会場」とする予定だが、詳細は現時点では未定。

・次に検定を受ける時期を検討します。
英検は、従来の試験であれば年3回の受験機会があります。
①第1回 一次試験6月 →二次試験7月
②第2回 一次試験10月→二次試験11月
③第3回 一次試験1月 →二次試験2月
※ただし、
「民間試験」用の「英検」は、従来受けてきた試験とは違い
2次試験はなく、1日で全ての試験を終了します(1日完結型)。全ての試験はPCを使って行われ、スピーキングに関しては音声を録音して実施されます。また、このタイプの試験は、「毎月」実施される予定ですが、詳細は7月に公表するとのことです。

▶︎これから「民間試験」用の「英検」を学習して、時間が比較的自由に使える
夏休み中の8月に受験することとした。

A大学の加点の仕方をチェック

・A大学の通知を確認すると
〜『共通テスト』外国語の筆記の配点が 200 点の場合, 共通テストの英語筆記試験(200 点満点)とリスニング (50 点満点)の合計点数に英語認定試験の得点(40 点 満点)を加算し,200 点満点に換算します。〜
とありました。

・具体的な加点例として次のような表記がありました。
① CEFR:C2 =40点加点
② CEFR:C1 =35点加点
③ CEFR:B2 =30点加点
④ CEFR:B1 =25点加点
⑤ CEFR:A2 =20点加点
⑥ CEFR:A1 =10点加点

CEFRとは

文部科学省(平成30年3月)

■CEFR (Common European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment:外国語の学習、教授、評価のためのヨーロッパ共通参照枠)について
・CEFRは、語学シラバスやカリキュラムの手引きの作成、学習指導教材の編集、外国語運用能力の評価のために、透明性が高く、分かりやすい、包括的な基盤を提供するものとして、20年以上にわたる研究を経て、2001年に欧州評議会が発表した。

◼️CEFRには、のレベルがありますが、そのレベルの内容については、
およそ下記のようなものです。

・CEFRでは、習得レベルを「A:基礎段階」「B:自立段階」「C:熟達段階」に分けています。(これが上記の A1, A2, 〜 C1, C2 のレベルとなります。)

▶︎それぞれをさらに2段階に分類して「A1:学習を始めたばかりの者・初学者」「A2:学習を継続中の者・初級者」「B1:習得しつつある者・中級者」「B2:実務に対応できる者・準上級者」「C1:優れた言語運用能力を有する者・上級者」「C2:母語話者と遜色のない熟練者」の6段階に分けています。

・また、各レベルを判定する基準を以下のように定めています。 

CEFR 言語運用能力
C2 聞いたり、読んだりしたほぼ全てのものを容易に理解することができる。いろいろな話し言葉や書き言葉から得た情報をまとめ、根拠も論点も一貫した法歩で再構成できる。自然に、流暢かつ正確に自己表現ができ、非常に複雑な状況でも細かい意味の違い、区別を表現できる。
C1 いろいろな種類の高度な内容のかなり長いテクストを理解することができ、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会的、学問的、業務上の目的に応じた、柔軟な、しかも効果的な言葉遣いができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の、詳細なテクストを作ることができる。その際テクストを構成する文句や接続表現の用法をマスターしていることがうかがえる。
B2 自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的かつ具体的な話題の複雑なテクストの主要な内容を理解できる。お互いに緊張しないで母語話者とやり取りができるくらい流暢かつ自然である。かなり広汎な範囲の話題について、明確で詳細なテクストを作ることができ、さまざまな選択肢について長所や短所を示しながら自己の視点を説明できる。
B1 仕事、学校、娯楽、で普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば主要点を理解できる。その言葉が話されている地域を旅行しているときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近で個人的にも関心のある話題について、単純な方法で結びつけられた、脈絡のあるテクストを作ることができる。経験、出来事、夢、希望、野心を説明し、意見や計画の理由、説明を短く述べることができる。
A2 ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接関係がある領域に関する、よく使われる文や表現を理解できる。簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる。自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる。
A1 具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と言い回しは理解し、用いることもできる。自分や他人を紹介することができ、どこに住んでいるか、誰と知り合いか、持ち物など個人的情報について、質問したり、答えたりできる。もし、相手がゆっくり、はっきりと話して、助け舟を出してくれるなら簡単なやり取りをすることができる。

参照)ブリティッシュ・カウンシル、ケンブリッチ大学英語検定機構 

各資格・検定試験とCEFRとの対照表

文部科学省(平成30年3月)

【図】各資格・検定試験とCEFRとの対照表

○表中の数値は各資格・検定試験の定める試験結果のスコアを指す。スコアの記載がない欄は、各資格・検定試験において当該欄に対応する能力を有していると認定できないことを意味する。

※ケンブリッジ英語検定、実用英語技能検定及びGTECは複数の試験から構成されており、それぞれの試験がCEFRとの対照関係として測定できる能力の範囲が定められている。当該範囲を下回った場合にはCEFRの判定は行われず、当該範囲を上回った場合には当該範囲の上限に位置付けられているCEFRの判定が行われる。

※TOEIC L&R/ TOEIC S&Wについては、TOEIC S&Wのスコアを2.5倍にして合算したスコアで判定する。

英検の何級を受けるべきか?

・民間試験は、2回受けれるチャンスがありますが、
時間的な制約と検定料の負担を考慮して、8月に1回だけの受検をすることに
決めたので、合格できる可能性が高い級を受験しなければいけません。

▶︎英検2級は、A2からB1のレベルで、
「私」のレベル的には少しきつそうです。
そこで、A1からA2のレベルの英検準2級を受けて、できれば高得点を
取って、A2のレベルで、「20点」加点できるようにしたい。

👉そこから、「私」は英検準2級を受検することにします。

この後の動き

・学校の勉強とともに、「英検(民間試験)」対策もしなければ、
いけないので、問題集や参考書を購入して、独力で勉強していくか、
「英検対策」の塾に通う必要があるかもしれません。
・高2の2学期の最後の方に、「共通ID」を申し込んで、
「民間試験」を受ける準備を少しずつして行こうと思います。

シュミレーションを振り返ると

①英検、GETEC、TEAP は
それぞれの「都道府県」で受検できる予定だが、詳細は未定の部分もある。
▶︎「私」が住んでいる地区では、中学校、高校で「英検」を団体受検するところがほとんどである。そのような今までの実績が受検する「民間試験」を決定する大きな要因となる可能性はあると考えられます。

②2回の受検の機会をいかに利用するのか。
▶︎シュミレーションでは、「民間試験」に向けた学習を限定的にするため、1回としましたが、2回受けるとした場合は、
・同じ「民間試験」を受けるのか
・異なった「民間試験」を受けるのか
・2回受ける場合の受験生の負担の重さ
などをしっかりと考慮しなければいけないと思います。

③移行期間としての「大学入学共通テスト」と「民間試験」との併用
▶︎「民間試験」への完全移行への準備期間として、
2020年度から2023年度までは、移行期間として「大学入学共通テスト」と
「民間試験」の併用が認められますが、これによって受験生の負担は確実に重くなっています。

このように考えていくと、
今回の「民間試験」の導入が、
なぜ今市民レベルで反対されているのかが少し見えてきました。

次回は、どうして「共通一次」テストが始まり、
その目的が何であり、それがなぜ
今回の「民間試験」を採用する展開になったのかを考察します。

※今回の内容は、2019年6月29日時点におけるものなので、
今後資料の内容等が変更される可能性があります。

「大学入学共通テストで活用される民間試験」
には「その6」もあります。
引き続き読みたい方は、下記をクリックしてください。

 

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