外国語活動と総合的な学習の時間①

先日、ネットで
『小学英語「総合学習」でも=来年度から年15こま増ー新指導要領移行措置案・文科省』 という記事を見ました。

文部科学省は26日、2020年度以降に実施される小中学校の新学習指導要領のうち、前倒しして学ぶべき最低限の内容などを示した移行措置案を公表した。英語の授業時間数が増加する小学校では、「総合的な学習の時間」の一部を英語に振り替えられる特例を設ける。
移行措置は、新旧の指導要領をまたぐ児童・生徒の学習内容に漏れが生じないようにするのが目的。移行期間は18年度から全面導入の前年度(小学校19年度、中学は20年度)まで。国語、社会、算数・数学、理科と中学の保健体育では学ぶ学年や内容を変更する特例を定め、他の教科は新指導要領を先行実施できるようにする。
小学校の英語は「聞く・話す」を中心に英語に親しむ「外国語活動」を3、4年に導入し、現行で外国語活動を実施している5、6年の英語は教科書を使って「読む・書く」も加えた正式教科にする。これに伴い、3~6年の授業時間数は年35こま増える。
移行措置案では、期間中は外国語活動の時間を3、4年で年15こま新設。5、6年は現行の年35こまから15こま増やし、50こま分を確保するよう求めた。
増加分は学校の判断で、土曜や夏休みなどに授業をしたり、5、6年は1こま(45分)を15分などの短時間に分割して朝などに行ったりできる。ただ、総授業時間数を増やさない選択肢も残すため、増加する年15こまの範囲内で、総合的な学習の時間からの振り替えを認める。(2017/05/26-20:27)
引用先:時事通信 小学英語「総合学習」でも



外国語活動導入はなぜ?

・文科省は、英語教育の推進として「英語を使える日本人の育成」のため、小学校に外国語活動の導入が完全実施されたのが、2011年度からです。
導入の経緯は、小学校で「総合的な学習の時間」に「外国語活動」を実施するところが多くなり、学校間による格差、地域間による差が生じてきたため、と言われています。
・もともと、「外国語活動」が「総合的な学習の時間」の趣旨と合わないというのもあったとお思いますが・・・。
(「総合的な学習の時間」から「外国語活動」は外すべきである、という主張する人もいました。)

そして、
2020年に東京オリンピック・バラリンピックが行われるという目的地が
加わってきたのです。(開催地が決定したのは、2013年9月7日です。)

個人的には、経済界・世論からの要望を忖度した
政府が、グローバル化した社会に対応できる人材育成のために
①「総合的な学習の時間」に実施されていた「外国語活動」を独立させ
②小学校5・6年生に「外国語活動」を導入させ
③東京オリンピックが決まったので、それにかこつけて
④「英語を使える日本人」の育成
に邁進する、という形で
この英語教育の急な推進は展開されているのだ、
と思います。

なぜ2020年をめどに?

現在の政府は、自分たちの思うがままに
物事を進めようという姿勢を強烈に出しています。

「共謀罪」にしても、「オリンピックを開催するとテロの可能性が・・・」
「2020年までに憲法改正を」
英語教育では、
「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」の中で、
2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、新たに
英語教育が本格展開できるように・・・」という文言があります。

オリンピック・パラリンピックがあるから、
「日本」が、「日本人」が変わるわけではないのですが、
どうも一つも目安として、
急いで変革して欲しいもの、新たにつくりたいものが
あると、「2020年までに・・・」という言葉を
使っているようです。

要は、それにかこつけた「数値目標」があると
国民のみんなは、それで納得するだろうと思っているのでしょう。

その気持ちに付け込んでいるのが、現政権なのです。

言語学習状況の変化はボトムアップで

ところが、このよう到達地点ありきの
ーしかも十分な期間を確保しないでー
言語教育の急変革は、たいていは失敗するものです。

なせなら、
言語教育は、多文化の理解とともに、時間をかけての
継続的な姿勢、または体制ができていないと
充実したものができないからです。

例えば、
お隣の韓国。小学校から英語を学び、教育熱心な国民性もあり、
英語教育の改革をアクセルふかして進めていますが、
その弊害がもう出ています。
ー子どもたちが、きちんとした韓国語が話せなくなっている
という状況が現れているそうです。-

また、あるアメリカ留学を経験した人の話として、
現地の人が「日本人は、英語を誰から学んでいるの?」
と質問して、それに対して「日本人だよ」と答えたら、
それでは、「英語は身に付かないよ」と言われたそうです。
ーその言語を学ぶのであれば、できればそのnative speaker
から学ぶべきなのです。ー

韓国の例からは、
拙速な変革は、母国語までに悪い影響を与える
という一例ですし、
アメリカ留学での話は、
他言語を学ぶ場合の根本的なスタンスの大切さ
を語っていると思います。

native speaker の活用に関しては、
小学校外国語活動でもできるだけALTを授業に参加させるよう
文科省でも推進していますが、
もともと日本は、島国ということもあり、
「英語の堪能な日本人が、英語を日本人に教える」という
状況がほとんどで、特に現在の義務教育においては、
「英語を教えるとも思わず小学校の教員になってしまった人が、
小学生にとって初めての英語を教える」という
恐ろしい状況を作っているのです。

このような例を考えると、
現在の日本での英語教育の状況は、
その環境づくりの土台がきちんとできいない間に、
次々と新しい方針が出されて、
国と教師の間に挟まれた、本当は主役であるべき「こども」たちが
ないがしろにされ、変革の荒波に放り出されているような
ものです。

私は、英語教育の変革そのものには反対しません。
でも、今のような状況ではなく、しっかりとした
土台づくりをして時間をかけて、
日本独自の「英語教育」を創造するべきだと思うのです。

次回は、この続きを。

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