時間割に入らない「外国語活動」
小学校の「外国語活動」の授業時間について
確認すると
・現在は、小学校5・6年生に対して→35こま
すなわち、週1時間の割合で授業が行われています。
授業時数に関して言えば、いわゆる「ゆとり教育」の影響で
土曜日が休みとなり、授業時数そのものが減らされてきています。
その一方で、総合的な学習の時間の充実等により、
それぞれの教科の授業数の確保が難しくなる中での、
「外国語活動」の登場でさらに、こま数のやりくりで
どの学校も四苦八苦しています。
それが、平成18年度から、移行期間として
・小学校3・4年生に対する「外国語活動」を→15こま新設
・小学校5・6年生に対する「外国語活動」を
→15こま増加して 50こまの実施
できるようです。
ただし、この新設・増加したこま数を
普通に一週間の時間割に組み込もうとすると、
こま数が足りなくなります。
すなわち、文科省は、英語教育の改革を進めるために
時間割に入らないような「外国語活動」をなんとか
組み込みなさい、ということを言っているわけです。
そこで困った文科省は、こま数確保の方法として
「増加分は学校の判断で」
①土曜や夏休みに授業
②1こま(45分)を15分などの短時間に分割しての授業
③総合的な学習の時間からの振り替えをしてもよい
と教育現場に放り投げています。
現場の小学校からすれば、
①に対して→教師、子ども、保護者の了解が必要
②に対して→時間割の組み直し
③に対して→「総合的な学習の時間」での年間計画の再構築
をしなくてはいけなくて、結局
子ども、教師、保護者への負担が重くなることは確実なのです。
総合的な学習の時間の趣旨は?
前回のブログで話しましたが、
「総合的な学習の時間」と「外国語活動」の趣旨は、
全く違うものなので、独立させた、というような経緯が
あったのです。
よく「総合的な学習の時間」は、
[1]日常社会や社会に目を向け、児童が自ら課題を設定する。
[2]探求の過程を経由する。
ー①課題の設定 ②情報の収集 ③整理、分析 ④まとめ、成果
[3]自らの考えや課題が新たに更新され、探求の過程が繰り返される。
ことを目標とする、と言われます。
一方、現在の「外国語活動」は、
「コミュニケーション能力の素地を養う」ことを目標とし、
体験的な理解、積極的な態度、慣れ親しみがポイントとなります。
こうやって、2つの教科・活動の「目標・趣旨」を比べると、
相容れないものだというのがわかると思います。
だからこそ、文科省が「総合的な学習の時間」から「外国語活動(または
国際理解という名の下の活動)」を除外したという経緯があるのでしょう。
それなのに、
今度は、「時間が足りないから、各学校で適切に対応してください。
(何なら)総合的な学習の時間を活用してもいいよ」と国は
言っているのです。
もう、国の英語教育の方針が破綻しているのが
見え見えなのです。
ゴールだけを決めても・・・
結局、ゴールだけを決めても
土台がきちんとできてないので、
間に合わせの方針を次々と打ち出して、
現場を混乱させている・・・のが現状なのです。
教育は、国の根幹を形成する必要不可欠なものなのに、
しっかりしたグランド・デザインを作らないで、
その場、その場の時勢の流れに
ツギハギだらけの対応しているのが・・・日本なのです。
本当に恥ずかしいばかりです。
このような教育改革を推進して、
何の意味があるのでしょうか。
こんなことばかり考えざるを得ない
今日この頃です。
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