動詞語形変化を知る②「原形」

「動詞語形変化を知る」の2回目は、
「語形変化」の最初 – 「原形」についてです。

不規則動詞活用表
原形 現在形 過去形 過去分詞形 -ing形
A-A-A型
hit (打つ) hit(s) hit hit hitting
A-B-A型
run (走る) run(s) ran run running
A-B-B型
hear (聞く) hear(s) heard heard hearing
A-B-C型
be (〜である) an / is / are was / were  been being

さて、
それでは、「動詞の原形」がもつニュアンスについて
解説していきます。

動詞の「原形」がもつニュアンス

👉中学校時代であれば、例えば…
・動詞の基となる形
・「現在」や「過去」などの「時」に左右されない形
・命令文や to不定詞などで使われる形
〜などと教えられたのではないでしょうか?

これらのどの説明も
「使い方」の説明で、
動詞の「原形」がそもそも「どんなニュアンス」を持っているのかについては
述べていません。

英語をもっと自由に使えるようになるには、
そのようなニュアンスを理解することにより、
「ハートで英語をつかめる」ようになるのです。
(- 大西先生からの表現)

▶︎「動詞の原形」は、
「時」にも「人称」にも左右されない、「動詞としての機能を取り除いた形」
なので、そこから「実現していない」というニュアンスが生じ、「動詞のその意味の
エッセンスだけ」を表現する形なのです。

【補説】

◎英語で「時」は助動詞あるいは動詞の形を変えて表しますが、それは
時表現が、動詞以降の出来事の「時」を指定するから。
(「ラジオ英会話 11月号」Lesson 141 p.22 から)

– とあるように、
動詞は本来、その「時」や「人称(3単現)」でその形が変わるものなのです。
それに左右されない動詞の原形は …

実現していない」というニュアンスがあり
▶︎「その意味のエッセンスだけ」を表現する

という特殊な形なのです。

👉この2つのニュアンスは、
4つの英語表現との相性が抜群です。

語形変化 ニュアンス さまざまな表現方法
動詞原形

・実現していない

・その意味のエッセンスだけ

①命令文
②「願望・提案・要求」などを表す動詞に
後続する節での動詞は原形
③to不定詞 (to+動詞の原形)
④助動詞+動詞の原形

①命令文

動詞の原形から始まる文

👉命令文は、「動詞の原形」から始まる文のこと。
命令文は、「相手」に対して「これから、すること/してほしい状態」を述べる
文であり、その内容はまだ「実現してない」ことなので、「動詞原形」から始まるのです。

a. Go to the park quickly.
「早く公園へ行きなさい。」
▶︎「相手」は、何か用事があって「公園へ行かなければならない」のに
まだ行っていません。だから、その「まだ実現していない」-「公園へ行く」
という動作を早くしなさい、と命令している文です。

b. Be kind to old people.
「高齢の人に優しくしなさい。」
▶︎「相手」は、高齢の人に対して優しくしていない状況にあるので、
これから「そのような状態になりなさい」と、命令している文なのです。

②「願望・提案・要求」などを表す動詞に後続する節

「願望・提案・要求」などを表す動詞+(that) 主語+動詞の原形〜

👉「願望・提案・要求」を表す動詞に後続する節には、
当然、「願望・提案・要求」する内容が展開されるので、その内容は「まだ実現
されていない」事柄であり、そのため「動詞は原形」となります。

a. My father requested that our plan be changed.
「私の父は私たちの計画は変更されるべきだと要請した。」
▶︎「父」が「私たちの計画」を見て、この計画はこのままでは問題があるので、
これから変更されるべきだ、と要請している文です。
※意味合い的には、助動詞を用いて…
My father requested that our plan should be changed. としてもOKですが、
「〜すべきだ」という義務感が強く響く文になります。

【願望・提案・要求などを表す動詞】の一例
・propose (提案する)
・insist / suggest (主張する)
・request (要請する)
・require (要求する・命じる)
・recommend (勧める)
・advise (忠告する)

b. It is important that you read  a lot of books.
「たくさんの本を読むことは大切だ。」
▶︎「It is important +節」のような文も、その節では「これからのこと」を
表現するので、「動詞は原形(この場合は、見た目が”現在形”と同じですが)」
になります。

【 It is important +節 – と同じような形をとる表現】
・It is essential +節
・It is necessary +節
・It is proper +節
・It is impossible +節
※どれも節の内容は「これからのこと」を表現する文です。

③ to不定詞

「to+動詞の原形」は、動詞原形の自由度の高さとぴったり

👉 to 不定詞は、to という前置詞が持つニュアンスも「動詞の原形」を
選択します。
▶︎ to は「指し示す」イメージがあり、その後ろに動詞が来る場合は、
「時」や「人称」に左右されない、その動詞の「エッセンス – 純粋に意味だけ」
を「指し示す」役割を果たします。そのため「原形」がくるのです。

a. To get up early in the morning is important for you.
「朝早く起きることは、あなたにとって大切です。」
▶︎to不定詞の名詞的用法と言われる表現です。
– to の「指し示す」感が、「起きること」と、「時」に左右されない、
その動詞の「エッセンスだけ」を表しています。

b. I want to be an English teacher.
「私は英語の先生になりたい。」
▶︎これも to不定詞の名詞的用法と言われる表現。
– want の「これから」感と to の「指し示す」役割が、
動詞の原形の「実現していない」ニュアンスと伴い、パーフェクトなコンビネーション
を示します。

c. Ken likes to play basketball with his friends.
「ケンは友達とバスケットボールをするのが好きです。」
▶︎これも to不定詞の名詞的用法。
– これは a. の例文と同じように to の「指し示す」感が、
「友達とバスケットボールをすること」と動詞の「エッセンスだけ」
を表現しています。
※ playing となると「生き生きした躍動感」が伴う(まるで、今現在
バスケットをしているような)ニュアンスを含みます。

d. Please give me something hot to drink.
「どうか私に温かい飲み物をください。」
▶︎これはto不定詞の形容詞的用法と言われる表現。
– これは “something hot” と言って、その後に “to drink” という
「情報」を加えているだけで、そこには動詞の「エッセンスだけ」
で十分なので、動詞の原形が使われているわけです。

e. Emi went to the station to meet her aunt.
「エミはおばさんに会うために駅へ行きました。」
▶︎これは to不定詞の副詞的用法と言われる表現。
– これは “Emi went to the station” と言ってから、その後に
“to meet her aunt” という「目的」を加える役割を果たしています。そのため、
動詞の「エッセンスだけ」で十分であり、動詞の原形が使われています。
※主動詞が went で過去形のため、「時系列」的に考えると、
meet も過去のように思われますが、ここの部分( to meet her aunt ) は、
「目的」を表現しているだけなのです。

f. We’re happy to win this tough game.
「このタフな試合に勝てて私たちはうれしい。」
▶︎これは、「原因・理由を表す」to不定詞と呼ばれる表現。
– これは、明らかに「タフな試合に勝った」- そして「うれしい」と、
“win the game” が「過去」を示す行為なのですが、この文の
「メインの主張」は “We’re happy” で「今の私たちの気持ち」にあります。
そして、その後ろに「指し示す」to を用いて、「理由」を述べているだけ
なので、そこには「時」は関係なく、動詞のエッセンスだけで十分なのです。

 

 

 

【to不定詞の自由度の高さ】
このようにto不定詞は、「指し示す」to と「動詞の原形」が組み合うことにより、
「時表現」の呪縛から解き放たれて、
英文にさまざな情報(「目的」「理由」「説明」など)を加えたり、
文の中で、主語や目的語、補語の役割を果たすことができるのです。

④助動詞+動詞原形

助動詞の表現するものが、動詞原形を選ぶ

👉助動詞は「心理を表す」表現であり、その動詞の内容が事実そのものではなく、
心理内の話なので、「実現していない」を意味する「動詞原形」を選ぶのです。

a. May I ask you some questions?
「あなたに質問していいですか。」
▶︎ may は助動詞で、May I 〜?で許可を求める表現です。
-「許可」は、「これから行うこと」に対する許しをもらうことなので、
「実現していない」ニュアンスをもつ、「動詞原形」を用います。

b. You must use a pencil here.
「ここでは鉛筆を使わなければなりません。」
▶︎ must は助動詞で、ここでは「義務」を表現しています。
-「義務」も、「相手」に対して、「これからどうするべきか」について
圧力を加える形なので、「実現していない」ニュアンスをもつ「動詞原形」を用います。

 

 

これで、
「動詞原形」のまとめは終わりです。

 

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