「聞く力」の4回目です。
前回までで、入門期のトレーニングとして
①基本的なフォニックスの学習(→「聞く力」のトレーニング②)
② classroom English の活用(→「聞く力」のトレーニング③)
③ warming up の活用(→「聞く力」のトレーニング③)
を説明してきました。
今回は、
教科書のレスンの内容を扱う場合の「聞く力」の鍛え方について見てみましょう。
④ oral introduction の活用
・こうやって「聞く力」について考えていくと、
「結局、授業を全部英語でやってしまうと、いいじゃない?」
と思う人もいるのではないでしょうか?
oral method というやり方もあり、
文科省も
「高校では、できるだけ英語の授業は英語で」ということを
提唱しています。
しかし、
私は、「英語の授業をすべて、英語で実施する」ことには反対です。
私は、
「効果的に英語を用いる」授業が一番いいと思います。
なぜ、all English の授業に反対するのか?
・小学校の外国語活動でもできるだけ指導者は「英語」を使って授業をしようとしています。また中学校でもできれば英語で、望ましいのは “all English” で、という風潮があるようです。
ですが、日本人が小中(高校も含めてもいいですが)で、
all English の授業を実施した場合、どんな利点があるのでしょうか?
挙げるとしたら
・英語の input 量が膨大な量になりいい影響を与える
→「概要」を把握する力、「語彙数」「表現力」が高まる
・「日本語」を通さないで、「英語」で「英語」を理解するので、
「思考法」が英語的になる
→ダイレクトに「英語」を理解することにより、「話す力」もアップする
などがあると思います。
それでは、心配されることとしては、
・授業を理解できない生徒が増えるのでは?
・「理解」するだけで精一杯でアウトプットの力はつかないのでは?
・母語である「日本語」がないがしろにされるのではないか?
などがあります。
英語を完全に理解し、流暢に話し、思考方法まで「英語」的なものであるならば、
私は、日本人である必要がなくなるのではないかと思います。
私たちが日本人である限り、
日本語を大切にし、日本文化も守り続けなければいけないと思います。
そのために、
どんなに英語を勉強したとしても、その土台には「日本語」がなければ
いけないし、「日本語」でなければ伝わなないニュアンスだってあるのです。
私は、
そういうものを大切にしたいと考えるので
all English の授業には反対です。
一番効果的に「英語」を用い、
一番効果的に「日本語」を用いる授業が、
理想的な「英語」の授業だと、私は信じています。
oral introduction の具体的な方法
それでは、具体的に oral introduction についてお話しましょう。
入門期に、教科書の内容を oral introduction で導入するのであれば、
picture card を活用するのが一番良い方法だと思います。
なぜ picture card を用いるのが良いのか?
①絵が内容理解の補助をしてくれるので、英語で導入もスムーズにいく
②絵があることにより「聞く」ことに生徒が集中しやすい
③絵を用いることにより、未習の文型も導入しやすい
などの理由があります。
一例を挙げます。
この絵が、教科書の内容を示すものとしてあるなら・・・・ |
[1] Do you know this girl? ( Yes or No )
– What’s her name? ( Her name is Emi.)
[2] Do you know this boy? ( Yes or No )
– What’s his name? ( His name is Ken.)
[3] Where are they? ( They are in the classroom.)
[4] How many students are there in this picture? ( There are two.)
[5] What are they doing? ( They are studying / sitting on the chair…)
などの状況説明してから、
テキストの内容へとスムーズに入っていくことができます。
また、フォニックスを確認したいのなら |
[1] Do you know this g, g, girl? → g-ir-l
[2] Do you know this b, b, boy? → b -o-y
[3] What’s her n, n, name? → n-a-m-e(マジックE)
※マジックE:子音+母音+子音+e であれば、
母音は「名前読み」になり、最後の e は発音しない、というルール
のように、無理しない範囲で
「文字」と「音」をつなげることができます(フォニックス)。
オーラル・イントロダクションでは
やはり内容が理解されているかを確認することが大事です。
内容確認の仕方としては・・・ |
[1] 簡単な英語、または日本語でのやり取りをしながら、進める
[2] 最後に簡単な T F テストなどを用意して確認する
・・・入門期であれば、このぐらいの方法で内容をおさえることができますが、
学年や内容のレベルに合わせて、英問英答や英語の要約の穴埋めなどの方法を実施することもできます。
いずれにせよ、
oral introduction は生徒たちには「絵」と「教師の発話」に集中させ、「教師」は「生徒」の様子をよく観察して、理解の度合いを予測しながら、その場で応じた対応することが一番の大切なポイントです。
今回はここまで。
「『聞く力』のトレーニング」は「①」から「⑤」まであります。
時間のある方は、下記をクリックし「⑤」もお読みください。
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