「聞く力」の5回目です。
4回目までで、
入門期のトレーニング法として,
①基本的なフォニックスの学習
②classroom English の活用
③warming up の活用
④oral introduction
の4つを取り上げました。
入門期としては、この4つを組み合わせたり、
発展させることにより、ある程度「聞く力」を鍛えることができます。
もちろん、
この他に、教科書にある「聞く力」に関するコーナー(Let’s Listen やListening のアクティヴィティなど)や、副教材を活用すれば、なお効果的なだと思われます。
さて、今回は、その他に
どんな activity をすれば「聞く力」を自然にレベルアップできるのかをお話します。
A:small talk の活用
授業の最初に、
教師からのインプットとして、small talk を活用する場合もあります。
small talk を調べると
「世間話、雑談」とあり「プライバシーに関する話を除いた、気楽にすすめられる話題が中心」となる、とあります。
すなわち、(英語による)スモール・トークは
授業の雰囲気を、
・和やかなものにする
・英語の学習の雰囲気作りする
ーことができる潤滑油と言えます。
スモール・トークでは、生徒が興味関心をもてる話題選びが
一番のポイントとなりますが、次のような話題がよく取り上げられます。
①天気について
②生徒が興味を持ちそうな自分(教師)の話題
③生徒の様子について
④共通(学校、学級)の話題
⑤話題のネタ(ニュースなども)
このような話題を
あえて少しレベルの高い表現(未習の表現)を含めて、
話をしたいところです。
スモール・トークはその役割から授業の始めが望ましいですが、
・その頻度(毎回実施するのか、週の始めだけ実施するのか等)
・一方的な教師からのインプットにするのか、インタラクションを含めてのものするのか
〜などについては、対象となる生徒の習熟度などに合わせて
配慮する必要があります。
B:shadowing の活用
shadowing は、本来
「英語を聴きながら、それをそのまま後から追いかけるように同じリズム、イントネーションで発話する学習方法」
のことで、日本人にとってかなり難しい学習方法です。
普通にやると(私個人の場合)
・しっかり英語を聞き取れない
・そのため、「発話」が曖昧な形になってしまう
・それでも英語は続くので、
結局自分で何を言っているのかわからなくなってしまう
〜というシャドウイング地獄に陥ってしまうことになります。
ここからすると、shadowing には
・英語を正しく聞き取る力
(語彙、文法、リズム、イントネーション含む)
・そしてそれを瞬時にアウトプットする力
が必要で、インプット力をアウトプット力に変換しなければいけない
トレーニングであることがわかります。
これを、中学生にいきなり求めるのはかなり無理があるので、
私は、本来の shadowing とは違う使い方で、
「シャドウイング」と称して練習していました。
【復習としてのシャドウイング】
・例えば、Lesson 1 の A が終わったとしたら、
その復習として、
①教科書を閉じて
②そのページの音声データを流し、音声だけを聞いて
③その後についてシャドウイングする
というトレーニングをしました。
このトレーニングのポイントは
・学んだ英文の内容をきちんと把握しているか
・リズム、イントネーションを真似ているか
・文法を理解しているか
の3点で、これがきちんと理解されていないと
いくら一回学んだ英文だとはいえ、
「音声だけ」を聞いて、それをリピート(アウトプットもどき)するのは
難しいと思います。
また、三単現在の -s や複数形の語尾なども
しっかり聞き取らないと、間違えたアウトプットすることになります。
→そのため、
1回、復習シャドウイングを実施したら、その後、
教科書を開いて、「音読」し、間違いを確認する活動が必要です。
このような活動を繰り返すことにより、
「正確に聞き取る力」が少しずつ身についていきます。
C:task の発表会の活用
・私は、学期に1回必ず大きなタスクを生徒に課していたので、
学期末には、その発表会を行なっていました。
この発表会も、「聞く力」を磨くいいチャンスです。
1年生の1学期であれば、
毎回恒例の「自己紹介」の発表会です(私にとっては、という意味で)
小学校でも「自己紹介」をやってきているのですが、それをさらにバージョンアップさせたものを1学期中に実施します。
タスクとして「自己紹介」する場合は、
・全体でのモデル練習
・自分のオリジナル「自己紹介」の作成、練習
・ペアでの練習
などを通して、それぞれの「自己紹介」の発表を磨いていきます。
そして、
発表会は、生徒全員による「評価」により、フィードバックします。
「評価」の項目は、あらかじめタスクに取り組む最初に提示して、
その「評価」のポイントを考えながら、活動していきます。
①態度 →内容を自分でしっかりして、自信を持って発表しているか。 ②発表 →声量、個々の音や音のつながり、リズムやイントネーションが英語らしいか。演出も含む ③応答 →発表後に、その内容に関して質問されます。それにきちんと答えられるか。 |
このような具体的な評価ポイントを示すことにより、
評価する側の「聞く力」もしっかり意識するように指導していきます。
d:one minute chat の活用
・1分間のチャットを続けよう、というトレーニングです。
chat とは、「おしゃべり」のことなので、
基本は、ペアでコミュニケーションをすることになります。
・最初は、30秒程度のチャットを続けるようにトレーニングします。
その際は、当然下記のような指導をします。
A:Do you like baseball? →B:Yes, I do. ( I like it very much. I play baseball every day…….) →B:No, I don’t. ( I like basketball. Do you like it? ….)・質問の後に、相手の名前を加えると、もっと会話らしくなります。 ・Yes / No のだけでなく、必ず1文を加え自分のことを話し、その後には相手に話をふり、会話が続くようにしましょう。 【使える表現】 What’s your favorite sport? What’s your favorite (baseball, soccer) team? Do you like (有名な選手など)? 【相づちに便利な表現】 Really? / Yes. / That’s great. |
「チャット」を続ける、ということは
当然、「しっかりと相手の話を聞かなければいけない状態」を作る
ということです。
ある学校では、
この活動を、
夏休み、冬休みの後の授業の最初の部分で取り組んでいました。
長期休業の後なので、「休み中に何をしたのか」という話題を中心に、
ペアの相手を変えながら、1週間ほどトレーニングしていました。
いつ、どのように実施するのかをしっかり考えて取り組むと
大変効果的な活動だと思います。
こうやって考えていくと、
当然 debate もその活動に入るのですが、
これは「話す力」の部分で、扱いたいと思います。
「聞く力」については、これで終了とします。
次回からは、「読む力」を扱います。
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