「have とは?」の2回目。
今回は、have to を扱います。
have to は中学校2年生の時期に
must と have to が一緒に出て、説明されることが多いようです。
・You must use this ball.
(あなたはこのボールを使わなければならない。)
・You have to go to bed now.
(あなたは今寝なければならない。)
今回は、
助動詞に相当する扱い方をする この have to について
解説します。
have to +動詞の原形
・その1では、
動詞としての have について解説しましたが、
今回は、
have to +動詞の原形 の形で助動詞のように使われるので、
have の基本イメージ
have の基本イメージ:自分のナワバリにもの・状態・状況などが存在する |
からは離れることに注意してください。
まずは、
中学校では、ほぼ間違いなく
must = have to
と習うのですが、
その「違い」から始めたいと思います。
(これ以降は、「助動詞」のカテゴリー[ must ] の一部とほぼ同じ内容です。)
must と have to
・中学校では、
must =have to と学び、
どちらも「〜しなければならない」と「日本語」は同じですが
▶︎ニュアンスは違います。
※基本的に表現する「形」が違うということは、そこに何らかの
ニュアンスの違いは生じているのです。だから、「別な表現」をしているのですから。ー違いは下記の通りです。
◎must の「〜しなければならない」 =「話し手の考え」から生じる「強い圧力」(内発的要因) ◎have to の「〜しなければならない」 =「外的な理由や状況」が原因による「強い圧力」(外発的要因) ▶︎「(〜だから)・・・せざるを得ない」のようなニュアンスになります。 |
👉 must は、「自分で考え、〜しなければならない」
have to は、「いろんな状況や理由によって、〜せざるを得ない」のような違いに
なるわけです。
・I must get up early every day.
「私は毎日早く起きなければならない。」
▶︎「自分」で考えて「早く起床すること」に対して強い圧力をかける
・You have to get up early because of tomorrow’s meeting.
「あなたは明日の会議のため早く起きなければならない。」
▶︎「明日の会議」という「外的な理由」により 「早く起床すること」に対して強い圧力をかける
※このような違いもできれば、押さえるようにしておきましょう。
have to の使い方
have to のニュアンスについては、上記の部分をしっかり押さえて、
その他に気をつけて欲しい部分を列記していきます。
[1] have to は、3単現の時は、has to +動詞の原形となる。
a. You have to study English hard.
▶︎ You を She に変えると
b. She has to study English hard. となります。
[2] a. b. を否定文、疑問文にすると do / does が出てきます。
a. の否定文:You don’t have to study English hard.
a. の疑問文:Do you have to study English hard?
▶︎ Yes, I do. / No, I don’t.
b. の否定文:She doesn’t have to study English hard.
b. の疑問文:Does she have to study English hard?
▶︎ Yes, she does. / No, she doesn’t.
[3] have to の否定文の意味に注意!
・must の否定文( must not ) は、「〜してはいけません」と言う「禁止」を
意味します。
▶︎一方、have to は「外的な要因」による「してはいけません」なので、それを否定文にすると「外的な要因」がなくなり、「〜する必要がない」という意味になるので注意。
・must not (mustn’t):〜してはいけません ・don’t / doesn’t have to:〜する必要はない |
👉ここから、a. b. の否定文の意味は下記のようになります。
a. の否定文
You don’t have to study English very hard.
「あなたは一生懸命に英語を勉強する必要はありません。」
b. の否定文
She doesn’t have to study English very hard.
「彼女は一生懸命に英語を勉強する必要はありません。」
[4] have to も「〜に違いない」(強い確信)を意味する
・must にも「強い確信」を意味する「〜に違いない」という意味がありますが、
have to にも同じ意味があります。
・He has to be the kindest in my class.
「彼は私のクラスで一番やさしいに違いない。」
・She has to be a dancer.
「彼女はダンサーに違いない。」
※細かい部分の話をすると、
どちらの英文とも、「彼、彼女の様子(外的な状況)」を見て、判断したという
ニュアンスがあります。
[5] have to の未来の表現
・助動詞はそのままの形で「2つ並ぶ」ことはありません。
ただ、have to は「助動詞 must」と同じような働きをしますが、
助動詞ではありません。
▶︎ここから、have to の未来の表現は、will have to +動詞の原形 となります。
・I will have to see a doctor tomorrow.
「私は明日医師に診てもらわなければならないだろう。」
[6] have to の過去の表現
・have to の過去の表現は、
次で詳しく解説しますが、have を過去形にして
had to +動詞の原形 で「〜しなければならなかった。」となります。
・They had to cancel their trip.
「彼らは旅行をキャンセルしなければならなかった。」
▶︎否定文
・They didn’t have to cancel their trip.
「彼らは旅行をキャンセルする必要はなかった。」
※意味に注意! have to の否定文は「〜する必要ない」です。
▶︎疑問文
・Did they have to cancel their trip? ーYes, they did. / No, they didn’t.
「彼らは旅行をキャンセルしなければならなかったのですか。」
must には過去形がないので、had to 〜
・can の過去形 は could です。
・will の過去形 は would です。
その他に、中学校では出てきませんが、may の過去形もあります。
※should は shall の過去形です。
👉ところが、
must には、その過去形がありません。
なぜなのでしょう?
それは、やはり must の持つ特徴からくるものです。
ーYou must の文は、「命令文」とほぼ同じ意味になりますが、
そこからもわかります。
▶︎「命令文」とは、「今、その場で相手に命令する(圧力をかける)」文のことで、
そのため、動詞も「現在」や「過去」を示す形ではなく「原形」が用いられています。この命令文の「今、その場での圧力」が must と共通するので、言い換えることができるのです。
▶︎すなわち、must には「今、この場での強い圧力」という特徴があるため、
「過去形」を持つことができなかったのです。
must には「今、この場での圧力」のニュアンスがある |
👉そのため、
「〜しなければならなかった」と表現したい場合は、
have to を過去にして、 had to +動詞の原形 で表現することになるのです。
・Ken had to call their mother every night.
「ケンは毎晩母に電話しなければならなかった。」
これで、have to については終了です。
「have について?」は「その1」から「その4」まであります。
興味がある方は、どうぞ下記をクリックしてご覧ください。
👉have について その1(動詞)
👉have について その2(have to)
👉have について その3(現在完了)
👉have について その4(〜させる)
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