「話す力」のトレーニングの2回目。
前回は、全般的な話で終わりましたので、
今回からは、具体的な話をしていきます。
まずは、
「小学校の外国語活動の進化」についてです。
小学校の外国語活動を進化させる
小学校での外国語活動を土台にして
どんどん中学校のレベルに進化させて行くことは、
子どもたちも
「自分がどれだけ言えるようになったのか」を実感できる
いい機会なので、これを活用しない手はありません。
具体的に
まずは「自己紹介」を例にとって、
どのようにレベルアップさせて行くのかを見てみましょう。
①自己紹介を進化させる
以前の “Hi, friends!”を見ると、外国語活動では、
Hello, my name is 〇〇〇〇. Nice to meet you. My birthday is August 1st. I like pizza. I can play tennis. Thank you. |
程度の表現をすでに
様々な活動の中で発表しています。
be動詞の文
一般動詞の文
助動詞の文も
入っていて中1の自己表現のタスクに
使えるものばかりです。
このような表現を学んでいることを生かして
私は、中1の1学期の中間テストが終わった頃に
1つのタスクを課します。
進化1〜中1入門期(1学期)
このタスクは本当に授業びらきの時に
すでに英語での「自己紹介」の発表会を行うよ、と伝えているものです。
参考にしたのは、
影山英男&藤井弘之先生による
「反復練習 英語暗唱ノート」(アルク)です。
ーこれは、影山校長と藤井先生による小学校での英語指導方法として
話題になったものです。藤井先生が小6の児童に対して、いきなり
英語の文字を示して、それと同時に音声も与え、ひたすら繰り返し練習し
暗唱のレベルまで持って行く、という手法です。ー
「外国語活動」で体験したものと
影山先生による実践を利用させてもらって、
私は下記のような自己紹介を
藤井先生の手法で(英語を見せて、音声を与え、真似して発声させて、暗唱まで
持って行く手法)指導しました。
Hi, I’m Kenta. Nice to meet you. Please call me “Ken.” I live in Matsubara. I go to Miami Junior High School. I’m in the seventh grade. My birthday is August 1st. I’m twelve years old. |
このようなサンプルを、
拡大コピーして、黒板にはり、
授業開始の2分程使い、一斉に練習して暗唱のレベルまで持っていきます。
そして、それを自己表現のレベルにあげていきます。
①サンプルを暗唱のレベルまで練習する
②サンプルの下線部を自分バージョンに変えてオリジナルの自己紹介にします
③オリジナル自己紹介を暗唱のレベルまでもっていきます
④1学期終了前までに”Self-Introduction Show” として発表会を実施
⑤相互評価し、フィードバック
というような段階を踏んで指導していきます。
このタスクは、
中学校で最初のタスク、発表活動なので、
時間をかけて、ゆっくり上達するように練習します。
それには、
先ほども書いてあったように、
一気に長時間練習するのではなく、毎時間2分程度の練習を
継続した方が良いかと思います。
また、基本的に
家で練習をさせることはしなかったことにより、
生徒への負担を軽減し、かつ授業での練習時間に集中させました。
原稿があるものを
発表するという形での「話す」力のトレーニングでしたが、
特に入門期にはこのようなパターンが
練習しやすく、効果が上がる方法だと思います。
進化2〜2学期にもやります、自己紹介
中1の1学期でこのような自己紹介をした生徒たちは
何と2学期にも自己紹介のタスクを課します。
これは、中1の2学期の半ばまでは、
テキストの主語がある程度 I と you に限定される、というのも
理由の1つにあります。
さて、その時のサンプルは下記のようなものです。
1.Hi, everyone. 2.My name is Kenta. 3.I’m a member of the music club. 4.I like music very much. 5.I play the guitar every day. 6.My favorite singer is Yuzu. 7.They are very good players. 8.I can play soccer. 9.My favorite team is Marinosu. 10.Thank you for listening to me. |
be動詞の文
一般動詞の文
助動詞 can の文
they are の形
Thank you for 〜ing の形
を含んだ自己紹介の文です。
1学期に行ったタスクは「自己紹介」を発表し、相互評価で終わりますが、
2学期の「自己紹介」には、「書く」作業も入ります。
私のバックワード・デザインで、
2学期のゴールに、
「10文で簡単な自己紹介が書ける」というものがあり、
上記の「自己紹介」の発表会も
1学期と同じように実施しますが、
それが、そのまま定期テストでは
「あなたの自己紹介を 10文以上の英語で書きなさい。」という
問題で出題されることが、
最初から示されています。
その目標が達成できるように
指導者も工夫しますし、生徒も練習し学習して行くことになるのです。
このように
小学校で学んだきた表現の活動を土台として
①中1の1学期に少しレベルアップした「自己紹介」のタスクを実施
②中1の2学期に助動詞も含めたさらに自由度が高くなった「自己紹介」の
タスクを実施し、今度はそれを「書く力」にもつなげる
ことを計画的につながるような指導をして行ったのです。
自由度の度合いはほんの少ししか
高まっていませんが、これを継続して指導することに
効果が上がると思います。
また、
中1の2学期の指導では
「自己紹介」の発表が終わった後、その内容に関してALTが2〜3問英語で
質問するという「聞く力」を高める活動も入れていました。
今回はここまで。
次回は、引き続き、このような指導をした例をもう1つ
示します。
「『話す力』のトレーニング」は「①」から「⑤」まであります。
時間のある方は、下記をクリックし「③」もお読みください。
コメント