さて、今度は「話す力」について
見ていきましょう。
「話す力」とは・・・小学校では
・当然の話ですが、
「話す」ということは、
ここでは基本的にはコミュニケーションの中で、自分のことや話題になっていることについて自分なりの考えを述べることです。
「話す力」を考えるとき、生徒たちは
まず「相手が言っていること」をしっかり理解しなければなりません。
すなわち「聞く力」がある程度身についた上で、
自分の意見や考えを「英語で考え」「発話する」までの部分が
「話す力」になるのです。
小学校では、
「音声」を中心とした活動、指導が中心となっています。
ただし、「聞く力」とともに「話す力」の素地を高めるような言語活動を
しているので、ある程度「限定」された「話す力」を活動の中で
経験しています。
以前の副教材 “Hi, friends!” を見ると
①基本的な挨拶を交わす
②好きなものを聞かれ、答える
③食べたいものを聞かれ、答える
④できることを言える
⑤簡単な道順を教える
⑥自分の行きたい国について発表する
⑦自分の一日の生活について言える
⑧将来なりたい職業について言える
などの「話す」活動をしています。
あまり
「話す内容」にこだわりすぎると、
楽しんで活動し、コミュニケーションの素地を育てるという「外国語活動」の趣旨から逸脱してします。そのため、ピクチャーカードなどを用いて「限定された語彙」「限定された表現」で、無理に設定された場面での「話す」活動をせざるを得なかったのです。
そのため、
子どもたちは6年生にもなると、
その活動のワンパターンさに慣れすぎて、「飽きて」しまうのです。このあたりに、小学校高学年での「外国語活動」を指導する場面での難しさがあるのです。
今年から、
小学校3年生からの「外国語活動」、小学校5年生から「外国語」の授業が始まり、高学年からは「文字」も少し扱うようになっていますが、あくまでも
小学校では「話すこと」「聞くこと」をメインとした活動です。
そのため
小学校高学年の発達段階に応じた指導が「外国語」で実施できるのか?
という問題は、以前と変わらず現存すると思います。
What’s this? と言われたら It’s a cat. と言う。
What do you like? と言われたら I like apples. I don’t like bananas. と言う。
What would you like? と言われたら I’d like a hamburger. と答える。
などの「限定された発話:話す力」から
自分のことを、自分で考え、それを英語で発話をする力を身につける
のは、中学校からとなるのです。
ですから、
本格的に「話す力」を身につけるのは、
音声と文字の関係を学び、文法学習も始まる中学校から、となります。
小6の生徒が、中1の英語で期待すること
先ほども話題に出したように
小6の生徒が「外国語活動(現在は「外国語)」に飽きてしまう傾向が強いのは
あまりにもパターン化された「英語」でのやり取りを
必要性のない場面設定で、繰り返し練習させられ、発表させられるからです。
(つまり早期に強力な「英語嫌い」を作り出してしまっているのです。)
これは、
文字を通さない「話す」「聞く」活動を中心としながらも、
主たる英語学習は「中学校」から、と言うスタンスを変えないために、
ものすごく限定された「語彙」で
週1時間の活動をこなさなくてはいけない、という状況が
作り出してしまうものなのです。
この「限定」された状況から
小6の子供たちは、脱却したいと思っているのです。
子どもたちの興味・関心を高めるための一番のスパイスは、
「本人自身が興味を持っている」ことに対して、
できるだけ「自由に」発話させることです。
教材の中での
「道案内」や
「行きたい外国」も
小学校の先生方が、精一杯の工夫をして
「楽しく、英語を慣れ親しむ」活動を実践していますが、
そこには限界があります。
それは、
どれも「同じ」に聞こえてしまう、ということ。
「もっと言いたいことがあるのに」
「これを言いたかったのに」
でも分からないので、言えない。
そこには
「もっと英語を、自由に言えたらいいなあ〜」
という、第2言語を学ぶと誰もが切望する願いがあるのです。
このような気持ちを持って、
小学校を卒業した生徒は、中学校での英語の授業に臨むのです。
中学校では、そんな生徒の期待に応えた授業をしているのでしょうか?
「話す力」は総合力が必要
英語を「話す」ためには、
①相手の言っていることを「聞く」力が必要
(概要をつかむ力、正確に聞き取る力)
②それに対して自分の考えをもつ力が必要
③自分の考えを「英語」に置き換える力が必要
(語彙力、英文法の力)
④それを相手が聞き取りやすように「話す」力が必要
という段階があるのだと思われます。
結局
インプットは「理解」の範囲ですむのですが、
アウトプットは「表現」力のことなので
総合的な英語力を必要とするのです。
すなわち、
小学校での「外国語活動」で経験してきた
「話す」活動、「聞く」活動をレベル高めながら、
徐々に「生徒が本当に言いたいこと」を言えるように
していかなければならないのです。
当然、そこには、「音と文字の関係」を学び、
英文法も学習することにより、
より「正確に」聞き、より正確に「話せる」ようにしていく
指導が必要となっていきます。
「話す」ことのトレーニングの段階
このように考えていくと、
「話す」力をトレーニングするには、
総合的な指導が必要になるのですが、
(「聞く」力や「音と文字の関係:フォニックス」の学習については
「聞く」力や「読む力」の部分ですでに取り上げています。)
ここでは「話す」ことの指導にできるだけ限定して
お話して行きます。
「話す」ことのトレーニングを
段階的に示すと
①小学生の段階では ・「限定された語彙」「限定された表現」を用いて、特定の設定された状況の中で、相手がいったことに対して話す(対応する)ことができる。 ・基本的な挨拶をかわすことができる。 |
②中学校の段階では ・フォニックスの基本を学び、「話す力」を高め、英文の構成の仕方を学習しながら 👉小学校で学んだ「話す」活動を進化させる 👉絵を見て、それにあった表現を英語で言えるようにする 👉日本語で示した場面設定にあった表現を英語で言えるようにする 👉設定した時間内に自分のことが言えるようにする 👉与えらえたテーマに沿って、自分の考えをまとめ発表することができる 👉上記の活動は全て「聞く」活動と密接に関連付けさせる ようなレベルを「書く」ことも意識しながら指導する必要がある |
ということなると思います。
今回は、
「話す」こととは、どのようなものであるかについて、
考察した記事でしたが、次回からはこの「各段階」に合わせて
具体的にトレーニング法について述べて行きます。
「『話す力』のトレーニング」は「①」から「⑤」まであります。
時間のある方は、下記をクリックし「②」もお読みください。
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