「読む力」のトレーニングとして
①「基礎的なフォニックスの学習」
②「単語」を読めるようにするトレーニング
を取り上げてきました。
今回は、その続きとして、
「文」を読めるようにするトレーニングについてお話したいと思います。
③「英文」を読めるようにするトレーニング
・単語をしっかりと発音(読める)ようになったら、
今度は「英文」をひとかたまりとして読めるようなトレーニングを
しなければなりません。
・授業中で一番身近にある英文と言えば、
もちろん、教科書です。
この教科書をどのように使ってトレーニングするかを具体的に示したいと
思います。
その1 復習として教科書の読み方トレーニング
・一度学んだ部分を復習として「読む力」を磨き上げるための
練習方法は様々な方法があります。
今、思いつく分をリストアップします。
①宿題として、復習するページを指示された回数読む課題を与える。
(練習した回数をノートに記入したりチェックするなどもするようですが、
私はこの方法は実効性があまりないと思うので実施していません。)
②授業中に、単語の復習をした後に、一斉に個人で読みの練習をする。
a. 時間制限を与え、その時間内で読めるところまで読む
b. 読む練習するときは立たせて、「読む箇所(ページ数)」を指定し、読む終わったら、終わった印として座らせる。
c. 回転読みをさせる。
ー立って読みの練習をする。指定されたページを1回読み終わったら、右に体を向け、2回目が終わったら右に体を向け、最後の4回目には元の向きで読み終わったら座る。
③速読と称してペアでどのくらい読めるかを競わせる。
ーペアで向かい合い、時間制限をして各自がどのくらいまで読めるかを競い、その結果をノートに記録していきます。例えば「今日はページ10から」と指示を出し、片方が1分間で何ページまで読めるかを、もう片方のペアがしっかり聞いて(聞き取れないような読む方はダメです)時間で読み終わったページ数を確認して記録します。競争意識を煽りながら切磋琢磨することが狙いです。
③学級全体でリレー読みに挑戦する。
ー個人での練習が終わったら、「今日はリレー読みをしましょう。」と指示を出します。教師がスタートの生徒を決めて、その生徒はあるページの最初の英文だけを読みます。そこから教師の指示で縦、横のどちらかにいる生徒が第2の英文を読みます。これを繰り返し、生徒全員が間違えずにスラスラとリレーできたらミッション・コンプリートというゲームです。これをやると他の生徒がどこを読んでいるか集中して聞いていないとダメなので、緊張感溢れるゲームになります。
※いずれにせよ、「読む練習」をさせた後は、練習成果を生徒にフィードバックする必要があります。全員のフィードバックが無理であれば、数名を指名して読みを発表させてコメントしてもいいかと思います。
その2 テキストの内容を確認しての読むトレーニング
・新しくページの導入が終わり、単語も確認し、概要把握が終わったら、
読みの練習として Read and Look up を私はすすめます。
【内容を確認しての Read and Look up】
・生徒全員が教科書の1文を読んだら、その後顔を上げて(教科書を見ないで)
同じ文を読む練習方法です。
具体的には、私は次のような手順で練習させました。
①教師が “Read.” と言ったら、
→生徒は、教科書の1文を「黙読」します。
(音読の場合もあります。黙読の方が集中力が高まるようです。)
②生徒が「黙読(または音読)」を終わった頃合いで、今度は ”Look up.” と言います。
③生徒はその指示とともに、顔を上げて、教師が差し出している人差し指に
視線を向けます。(視線を集中させて、教師が生徒の口の動きを確認するため
です。)
④教師の人差し指を見ながら、生徒は、先ほど黙読(または音読)した英文1文を
言います。
※この指導は、丸暗記ではなく一回教科書の英文をみて黙読(または音読)することにより「意味」を確認し、それを今度は「文字」を通さないで、発声することにより内容理解(ができていなければできない)を確認できるトレーニングです。
※また、教師が人差し指を差し出しているのは、生徒の視線をそこに集中させるためですが、これは意外と重要なポイントです。そこに視線を集中させることにより
教師は生徒のチェックもできますし、生徒も意識をそこに集中させることができます。口が動いてない生徒は、視線がこちらを向いてない生徒がいたら、指導することにより「集中度」は高まります。
⭐️英文の一文が長い場合は、途中で区切りを入れたり、そうでなければ、
”Read.” の指示を2、3回連続して出すことによりカバーすることができます。
その3 英文の語順を意識した読みのトレーニング
・英語はやはり「語順」が一番大切なので、その語順を意識させたいときは、
次のような練習シートを使って、読む練習をさせました。
【練習シートの例】
・1年生で、一気に曜日の単語が出てくるページの読みの練習として
上記のようなプリントを使用しました。
読みの段階としてA〜Dの4段階に分けてあります。
Aの段階:曜日を読めるように、そして「〜曜日に」と読めるように Bの段階:動詞の部分の表現を読めるように Cの段階:文の構成を意識して読めるように Dの段階:意味を理解して日本語をみて、英語を言えるように |
A、B、C、D の横に🔲🔲🔲🔲とあるのは読んだ回数分チェックを入れることにしているのですが、実際は授業中に練習させて、発表させたりしていました。
このように、
単語 → 時の表現 → 必要な動詞の表現 → 文の構成を明示したもの
→ 日本語
と言った段階を踏んだ練習をすることにより、
最後には日本語をみて、英語を言えるレベルまでの練習をすることができました。
英文を読めるトレーニングーまとめ
英文を読めるトレーニングは、
さまざまな方法がありますが、最終的には「意味を理解した」「語順を把握した」読みへとつながる練習する必要があると思います。
①復習としての教科書の読みを徹底する
(最も身近にある良い英文はテキストにあります。)
②内容理解の読みの第1段階としての Read and Look up
(一番のポイントは生徒の集中度を高めることです。)
③文の構成も含め、内容理解をしっかりできる読みのトレーニングを工夫する
(自分なりの工夫をした練習シートなどを活用しましょう。)
※今回は、単語だけでなく「英文」を読むトレーニングについて
考えて見ました。最近は、どうしてもタスク中心の授業が多いようで
(自分でもそうなりましたが)、「読み」そのものが軽視される
傾向があるようです。でも、良い英文を何度も読むことは、
「英文の引き出し」を頭の中につくるのに必要な活動です。
しっかり取り組みたいものです。
今回はここまで。
「『読む力』のトレーニング」は「①」から「⑤」まであります。
時間のある方は、下記をクリックし「⑤」もお読みください。
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