過去完了は、
「過去B(大過去)」と「過去A(俯瞰する過去」をつなげる表現であることは、
今までお話してきました。
「完了」形の
最大限の特徴であり、表現の豊かさは、この「2つの時点」をつなぐ、
ということにあるのですが、
過去完了の場合は、
「過去の2つの時点」を意識するという性格から、
→時系列をはっきりさせるためにも「過去完了」が使われることもあります。
「完了形」の役割は、2つの時点をつなぐ
ここで
「完了形」に関する表現を少し見直ししてみましょう。
まずは、「過去形」について。
過去の1つの時点を表現する「過去形」
中学校で学ぶ過去形の文は、こんな感じでしたね。
ex.1 I wrote a letter to my mother yesterday.
「私は昨日母に手紙を書いた。」
ex.2 Bob was sick in bed two days ago.
「二日前にボブは病気で寝ていた。」
ex.1 では「昨日」、ex.2 では「二日前」というように、
「過去形」は「現在」と切り離された過去の1つの時点を表現するときに用いられる形です。
【過去形】過去の1つの時点を表現する形 ー「現在」と切り離された、遠く離れた「距離感」のある表現 |
この「過去」と「現在」の2つの時点をつなぐ「現在完了」
先ほどの「過去」の文と「現在」をつなげると「現在完了」になります。
ex.3 I have just written a letter to my mother.
「私はちょうど母への手紙を書き終わったところです。」
👉「過去:手紙を書き始めたとき」と「現在:ちょうど書き終わったとき」の2つの時点を強く意識しています。
ex.4 Bob has been sick in bed since two days ago.
「ボブは二日前からずっと病気で寝ています。」
👉「過去:寝始めたとき」と「現在:今も同じ状態である」の2つの時点を強く意識しています。
【現在完了形】現在と過去の2つの時点を表現する形 ー「過去」からの行動・状態が「現在」に影響を与える幅のある表現 |
この「過去」と「大過去」の2つの時点をつなぐ「過去完了」
ex.1 と ex.2 の「過去A(俯瞰する過去)」より以前の過去「過去B(大過去)」の2つの時点を意識すると「過去完了」の表現になります。
ex. 5 I had already written a letter to my mother when my father came home.
「父が帰宅したとき、私はすでに母への手紙を書き終わりました。」
👉「過去B:手紙書き始めたとき」と「過去A:父が帰宅したとき」の2つの時点を強く意識しています。
ex.6 I told Emi that Bob had been in sick for three days.
「私はエミにボブは3日間寝込んでいると伝えた。」
👉「過去B:ボブが寝込み始めたとき」と「過去A:「私」がエミに話したとき」の2つの時点を強く意識しています。
【過去完了形】過去B(大過去)と過去A(俯瞰する過去)の2つの時点を表現する形 ー「過去B」からの行動・状態が「過去A」に影響を与える幅のある表現 |
このように、
「完了形」は2つの時点をつなぐ表現であり、
「過去完了」では、
「大過去(過去Aより以前の過去B)」を意識する形なので、
使い方によって、「2つの出来事の時間的な前後関係ー時系列」を明確にする働きもします。
「過去」から更に前の「過去(大過去)」へ導く過去完了
先に例文を挙げます。
ex.7 I noticed that I had left my bag in the train.
「カバンを電車に置き忘れたことに気づいた。」
👉時系列を示すと下記のようになります。
過去A:I noticed
↓
過去B:I had left my bag in the train
※「気づいた」時点で、「置き忘れ」がそれ以前のことであることが明確なので、
過去完了を用いています。
ex.8 Many people came to this festival than we had expected.
「私たちが予想した以上に多くの人がこの祭りにやってきた。」
👉時系列を示すと下記のようになります。
過去A:Many people came to this festival
↓
過去B:(than) we had expected
※「たくさんの来場者があった」時点で、以前に「予想していた」人数より多かった、ということが明確なので過去完了を用いています。
このように「過去A」から「過去B(大過去)」へ遡って表現する過去完了については下記のようにまとめられます。
過去に起こった2つの出来事で、 実際に起こった順序(過去B→過去A)とは逆の順序で発話するとき(過去A→過去B) 過去Bには「過去完了」を用います。 |
※これは、話者の「意識の流れ」を考えるとわかります。
まず「過去」の表現が、あって、それより以前のことに遡ったことを表現する場合は「過去完了」を用いるということです。この「遡る」という感覚が「過去」から「大過去」、すなわち「過去完了」を用いる、という流れになります。
すなわち、
上記の ex.7 や ex.8 の「過去完了」でも、
「過去の2つの時点」のつなげる役割ではなく、
「過去」から遡った「大過去」の事実を述べているだけなのです。
時系列で過去の文を言うときは?
「過去」から逆行する時は、「過去完了」を用いる。
それでは、
「過去」の文で、時系列に従って出来事を表現するときはどうなるのでしょう。
ex.9 I bought a bag for my sister, but she lost it.
👉「カバンを買って」→それから→「彼女が失くした。」
◎時系列に沿って、「過去の事実」を述べているので、どちらも「過去形」でOK
ex.10 We had lunch together, after that we saw the movie.
👉「昼食を食べて」→(その後に)「映画を見た。」
◎時系列に沿って、「過去の事実」を述べているので、どちらも「過去形」でOK
ex.11 I went to the library after I finished my homework.
👉「宿題を終えた」→後で:after で時系列を明記→「図書館へ行った。」
◎before や after などの「時系列」を明記する接続詞を用いると、過去完了を用いて、
「過去」を遡っていることを表現する必要はありません。
このような過去完了の使われ方もすることをチエックして置きましょう。
今回はここまで。
「過去完了」に関わる記事は、他に下記の5つもあります。
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過去完了〜現在完了との違い
過去完了①完了・結果
過去完了②継続
過去完了③経験
過去完了進行形とは・・・
完了形には全部で4つのカテゴリーがあります。
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👉基礎編
👉現在完了
👉未来完了
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