英語の歌をどのように扱うのか?の4回目。
今回は、どのようなプリントを使用していたのかを
お話します。
プリント活用方法
英語の歌を、授業で扱う場合は、
当然、プリントを配布して「歌う」という活動をするわけですが、
「何を目的とするか」で、プリントの作成の仕方は
違ってきます。
①英語とその訳を併記する
・一番基本的なパターンは、
「英語の詩」と「その大まかの訳」を併記するものです。
例えば、自分が作成したものであれば、
▶︎No New Year’s Day to celebrate ▶︎No chocolate covered candy hearts to give away |
◾️新年を祝うわけでもなく ◾️チョコレートでくるんだキャンディ |
このような感じです。
※このようなプリントを作る場合は、
どちらかというと、
曲を通して、
「英語のリズム」や「音と音のつながり(リエゾン)」
のように「音」に関しての指導強化を考える場合は
効果的なプリントだと思います。
もちろん、
英語の歌を授業で扱う場合は、「音声」に関する指導を
強く意識していくので、「読み方」を「歌詞」の上に
カタガナをふったりしてはいけません。
ちなみのこの曲には、
New Year’s Day, first of spring, April rain,
summer, July, autumn などの季節や月に関わる
語彙がたくさん使われているので、
その部分の語彙力の補強、確認にも最強の題材かもしれません。
②英語に穴あきの部分を作り、その訳は後ろに
・英語の歌詞は、その音のつながりなどの関係で
聞き取りにくい部分もかなりあるのですが、
曲を通して、「聞き取る」力も確認してみたい場合は、
「歌詞」の一部を穴あきの部分を予め作っておくパターンもあります。
例えば、こんな風に作成したプリントもあります。
▶︎When I ( ① ) young, I’d listen to the radio waiting for my favorite songs ▶︎When they ( ② ), I’d sing along, it ( ③ ) me smile |
(裏面に訳、または、わかりやすいものは訳を提示しない場合もあります。)
※この曲を歌っているときは、
ちょうど過去形に関する部分を学習していた時期です。
① の (was) や③ の (made) を聞き取りやすいですが、
② の (played) の -ed は注意しないとわからない生徒も
います。
規則動詞の語尾変化は、それほど強く発音することは
ないのですが、そういうことを実際に生徒は感じること
ができ、[プレイド] のような発音がなくなります。
このように
歌詞の「穴あき」プリントを実施する場合は、
最初は、「個人」で聞き取り、
その後に「ペア」で確認しあい、
その後、2回目にもう一度同じ曲を聞き、
正解を確認し合う、という形がいいようです。
◎すぐに、教師から生徒は解答を示す指導は、
「生徒」が自ら「考える機会」を奪うことに
なるので。
※また、「穴あき」の歌詞を使用する場合は、
「何を生徒に意識させたい、学ばせたい」のか
という部分をクリアにして、プリントを作成することも
大事だと思います。
③英語はそのままで、訳に空所を作る
・3年生になると、歌う曲も内容が難しくなります。
私であれば、Billy Joel の Honesty や USA for Africa の
We are the world を扱いましたが、このような「内容」の
「歌詞」であれば、意味もしっかり考えさせたいところです。
例えば、We are the world であれば、こんな感じです。
▶︎ There are people dying / And it’s time to lend a hand to life |
◾️( ① ) 人々がいる / 命に( ② )時が来たんだ。 |
※私は、ある程度
We are the world が作成された状況も学習した後に
「歌」に入りましたが、逆に何も知らない状態で、
この「歌」を聞かせて、その意味を考えさせても、
いい生徒にとって動機付けになると思います。
◎「歌詞」を大切にしてもらいたい曲は、
このように「意味を考えさせる」活動が、
「歌」を使っての活動を深めさせることができます。
👉教師が生徒に「考えてもらいたいこと」や
「伝えたいこと」がその歌詞に込められている
曲の選択が一番のポイントになるかもしれません。
このように、
生徒に何を意識してもらって、
英語の歌を学ばせるのかを考えたプリントづくりを
考えていくことはとても大切です。
それでは、どのように歌わせるのか?
上記のようなプリントを
用意した後は、どのように歌を生徒に歌わせるかが
ポイントとなります。
中嶋先生の実践例を見ると、
「歌いやすい雰囲気を作り出す」ために、
一緒に歌いやすい人のところに移動し、
立って楽しそうに歌っています。
👉でも、これはおそらく「中1」の入門期から
しっかりした指導がなされているからできる
ことだと思います。
私は、そこまでの指導力はないので、
基本的に席について座って歌わせていました。
どのような感じで指導していたかというと、
①曲を聞かせます
↓
②必要なポイントを確認します
↓
③必要な箇所を歌詞を見ながら口ずさみます
↓
④教師は、机間巡視しながら、
口ずさむように励ましていきます。
このような指導を、
少しずつ繰り返していくのです。
いきなり、
1回で、曲全体を歌わせるのは
無理(教科書も扱わなければいけませんからね)
なので、
「今日は、一番のここまで」
「今日は、サビの部分」など、と
少しずつ歌える部分を増やしていきます。
だいたい、歌える(口ずさむ)ことができるようになったら、
今度は、できるだけ「歌詞」を見ずに、
⑤「動画」を見て(顔をあげて)歌うようにします。
※大抵の曲は、その曲のPVがあるので、それを
活用し、「文字」から離していきます。
◎合唱コンクールの練習ではないので、
個々がある程度、こちらの「指導目標」に沿って
歌えるようになれば、それでOKとしました。
(あまり、声量や歌い方にこだわり過ぎると
英語嫌いを増やすだけです。)
私であれば、
授業の最初の5分程度を用いて、
英語の歌を指導し、
1ヶ月程度で、指導が終了します。
そして、練習した限りは、
その成果をチェックしなければいけないので、
それを定期テストの問題に組み込みます。
このような形で指導していきました。
おまけ:私が取り上げた歌たち
最後に私が指導した曲をリストにして
終わりたいと思います。
何らかの参考になれば、と思います。
1学年 | ① Hello, Goodbye by Beatles |
② Saturday Night by Bay City Rollers | |
③ Sailing by Rod Stewart | |
2学年 | ① Yesterday Once More by Carpenters |
② Last Christmas by Wham | |
③ I just called to say I love you by Stevie Wonder | |
3学年 | ① We are the champions by Queen |
② We are the world by USA for Africa | |
③ Honesty by Billy Joel | |
④ If we hold on together by Diana Ross |
※3学年の④ If we hold on together は、
今まで、全然触れてこなかったので、少し説明します。
👉映画「リトルフットの大冒険(恐竜の子どもが主人公の映画)」
のエンディングにかかる曲で、歌詞が大変いい(個人的に気に
入ってる)歌です。卒業前に聞かせたい曲です。
今回はここまで。
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