「聞く力」のトレーニングの2回目です。
今回の記事は、
中学校での指導法を対象としていますので、
小学校での指導の部分は簡単に触れることとします。
それでは、
小学校「外国語活動、外国語」で、どのような活動が、
「聞く」部分で行われているのか確認してみましょう。
小学校での外国語活動、外国語
ここでは、
「小学校外国語教育=外国語活動+外国語」と定義づけて、
お話を説明しています。
・外国語活動:外国語への慣れ親しむ活動、そしてコミュニケーション能力
を図る素地となる資質・能力の育成
・・・小学校3・4年生(年間35時間→週1時間)
・外国語:外国語の4技能の基礎を養う
・・・小学校5・6年生(年間70時間→週2時間)
基本的にここでは、
小学校中学年で「聞くこと」「話すこと」を中心とした活動
(活動で慣れ親しみ、学習への動機づけを高める)
☟
小学校高学年で「発達の段階」に応じて段階的に
①文字を「読むこと」及び「書くこと」加えて総合的・系統的に学習し、
②かつ中学校への接続の準備
☟
中学校英語教育へ
という流れにしていこうとしてます。
つまり、
そこで、
「今までやっていた外国語活動を中学年に持ってきて、
高学年は、中学校との接続もあるし、現場の小学校の先生方からも
文字を導入したいという要望が強かったから、「文字」を加えて
4技能ー聞く、話す、読む、書くーの基礎を学ばせよう」
と考えたわけです。
そこでの「聞く力」の活動は?
小学校で「聞く力」に関する活動の一例を紹介すると
下記のようなものがあります。
・Let’s Listen のコーナーとして
→「聞き取りクイズ」や「ポインティングゲーム」など
(名前や、国、などの名詞や形容詞を聞き取り、発表したり絵を示したりする。)
・Let’s Chant のコーナーとして
→音声を聞いて、リズムに合わせてのチャンツ
・Let’s Sing のコーナーとして
→英語の歌を聞いて、歌う
・ゲームを通してのそれに必要な「聞く力」
外国語活動のテキスト(以前の Hi, friends! を参考として説明しています。現在は、We Can! という教材を使用しています。)には、
赤字の Let’s Listen や Let’s Chant, Let’s Sing などのコーナーがそれぞれのレスンに設定され、「聞く」ことを活動の中心としているのがわかります。
私も小学校の「外国語活動」の授業を
いくらか参観させてもらいましたが、
小学校の先生は、
本当によく頑張っている方が多く、
できるだけ多くの英語を使って、子供たちと活動をしていました。
ALTとの授業になると、
授業のほとんどが、英語で行われ、
子供たちもそれに慣れているのか、
全部はわからないにしても、大部分の子供たちがその内容を把握し、
楽しく活動していました。
この効果は、
確実に、中学校にも影響を与えています。
音声面に関しては、
相手が英語で何を言っているのかを、理解しようとする態度がある程度
身についている、と評価している中学校の先生方が多いです。
そこで
「この態度」を大切にして、
中1ではどんな指導をすれば良いのかを考えて見ましょう。
入門期における「聞く力」のトレーニング
小学校では、「素地」を作るためにできるだけ文字を使わずに
「聞く」 → 模倣する →「話す」 を繰り返していきます。
だから、「聞く」ことに集中して
(もちろん、ジェスチャー、や絵などの補助資料もありますが)
「言っている内容」を理解するための努力をするしかないのです。
→それは
「1語」ずつの理解ではなく、「概要」を把握しようとする力を自然に身につけさせるのです。(これもとても大切な力です。)
この「概要」を把握しようとする力がある程度身についているのですから、
中学校では、それをフィードバックして
→「1語」ずつを気をつけるような指導を始めなくてはいけません。
そこで私は入門期の指導として
基本的なフォニックスの学習は必要不可欠だと思います。
①基本的なフォニックスの学習
・フォニックスは、
「読み力」「書く力」にも直接つながるものなのですが、
英語を学ぶ上で「土台」になるものだと思います。
→フォニックスを学ぶことにより、
「聞く力」「読む力」「書く力」のフィードバックもスムーズにできるようになるので是非とも活用した方が良いかと思います。
さて、具体的な話をすると、
私は、現役の英語教員だった時は、
「松香フォニックス」の教材を使って指導しました。
使ってたのは
「ペンマンシップとフォニックス練習帳」という教材です。
教材の宣伝ではありませんが、
この教材を使って、次のようなことを指導しました。
①アルファベットの「名前読み」と「音読み」を学ぶ
ー1つ1つのアルファベットの「名前読み」と「音読み」を音声データで繰り返し聞き、そのあとチャンツにして一緒に発音していきます。
ーそれとともに、アルファベットの書く練習(ペンマンシップも兼ねているので)もします。
【名前読み】 ーアルファベットの「名前」の読み方です。「エイ(A)・ビー(B)・スィー(C)・・・・」のような発音の仕方を指します。 【音読み】 ーアルファベットの「もう一つ」の読み方です。アルファベットの組み合わせで単語を構成する時は、こちらの読み方をすることが多いです。 例えば、”A”の「名前読み」は「エイ」ですが、「音読み」は「アとエの中間のような音」です。 【チャンツ】 ーアルファベットの「名前読み」と「音読み」を一緒に覚えられるような工夫をしたチャンツです。例えば”A”であれば、 ” A says a, a, apple.”と言います。そして、これが “Z” まで続きます。 👉最初の黄色いマーカーの部分は、「名前読み」で「エイ」と発音して、青字の a の部分は、「音読み」で発音し、その「音」から始まる「単語:apple」につなげていく、という構成になっています。 |
②「音読み」の違いを確認
ー教材では、新しい「音読み」を習うと、それに関連しての「発音」の違いを確認する問題もあり、「聞いて」→「発音して」→「もう一度聞いて」というフィードバックができるようになっています。
③「名前読み」と「音読み」から、「単語へ」
ーある程度の「名前読み」と「音読み」を学ぶと、「発音だけ」を聞いて、
「単語のスペル」を書かせる問題があります。正確に「音」を聞けて、発音できれば「英単語」は書ける、ことを実感できます。
このテキストはとても内容が精選され、かつシンプルなので、
授業始めの5分程度を使用していくと、
ほぼ、1学期の期末テスト前には終了できることができました。
中1の1学期で、
この教材を使って、
「聞く」ことの基礎固めをしていくと、
その力がアップしていくことは間違いなしです。
また、この学習が定着するために、
[1] A ~ Z までのチャンツを全て言うテストの実施
[2] 学んだ内容を確認する内容を含んだ定期テストに組み込む
ことを実施しました。
ここで、生徒が一番喜ぶのは、
「知らない単語でも、発音だけで書ける」
という体験ができることです。
(3語の単語であれば、ほとんどの生徒が聞いて正確に書くことができます。)
この「喜び」が動機付けになって、
小学校の「概要を聞き取る」力に「正確に聞き取ろう」とする力が
加わってくるのです。
自分の指導では、
この「基本的なフォニックス」の学習が、
「聞く」力のトレーニングの土台になっていたと思います。
今回はここまで。
「『聞く力』のトレーニング」は「①」から「⑤」まであります。
時間のある方は、下記をクリックし「③」もお読みください。
聞く力③
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