3学年の3学期に押さえたいポイントの3回目です。
前回は、
「ポイント2 関係代名詞 主格」についでしたが、
今回は「目的格」を扱います。
関係代名詞の目的格は、「後置修飾」とも関連があるので、
後半では「文による後置修飾」についても触れます。
ポイント3 関係代名詞(目的格):which / that
ここでは、「中学校で扱う関係代名詞」を扱っているので、
・関係代名詞 所有格の whose
・関係代名詞 目的格の who(m)
については、ここでは扱いません。
※なお、whom については既に「謎を解く!」で扱っているので、興味のある方は
下記の記事をごらんください。
関係代名詞「目的格」の特徴
・関係代名詞の「目的格」とは、
ー加えられた説明文の中で関係代名詞が「目的語」の働きをする、という意味です。
ex.1 The car which you see over there is Ken’s.
(向こうに見える車は、ケンの車です。)
・青い文字:先行詞 ・赤い文字:関係代名詞 ・黄色の下線:加えられた説明 |
・先行詞 “the car” に
関係代名詞 which が接着剤になって、you see over とう説明を加えています。
つまり、
the car +【 it(目的格)】you see ▢ over there
※see の後ろにあった目的格 it は文頭へ移動
ーのような説明の加え方です。
関係代名詞 which は、
上の文で言うと + 【 it 】 の働きをしているのです。
the car +【it(目的格)】you see ▢ over there
→ the car which you see over there
・ここの which は「目的語」の役目なので、次に来るのは「主語」+「動詞」です。
・この「動詞」の後に来るべき「目的語」が外見上は見えない(実際は文頭の whichがその働きをしていますが)ので気を付けましょう。
すなわち、「関係代名詞・目的格」の特徴は下記の通りです。
形 | 先行詞+関係代名詞・目的格+主語+動詞+~ |
特徴 | ①関係代名詞が「目的語」の役目をするので、次に「主語」「動詞」が来る ②「動詞」の後の来るべき「目的語」が外見上は見えなくなっているので気を付ける |
これを基本として、
それぞれの関係代名詞をひとつずつを例を挙げて、具体的に確認します。
which:「先行詞」が「もの」で、「目的語」の働き
・例を挙げて、確認します。
ex.2 This is the letter which Emi wrote last night.
(これが、エミが昨夜書いた手紙です。)
・先行詞 “the letter” が「もの」で、加えられる説明の ” Emi wrote ▢ ~” の「目的語」となっているので、which を用います。
→ the letter + 【 it 】 Emi wrote ▢ last night
ex.3 Don’t forget the flowers which I bought for you.
(私があなたのために買ったお花を忘れないで。)
・先行詞”the flowers” が「もの」で、加えられる説明の ” I bought ▢ ~ ” の「目的語」となっているので、which を用います。
→ the flowers +【 them 】I bought ▢ for you
that:「先行詞」が「人・もの」で、「目的語」の働き
・「主格」の時と同じように、関係代名詞の「目的格」の場合も that は、
先行詞が「人」でも「もの」でも使える便利な単語です。
先行詞が「人」の場合
例を挙げます。
ex.4 He is the boy that I met on the beach in summer.
(彼は夏にビーチで私が会った少年です。)
・先行詞 “the boy” が「人」で、加えられる説明の ” I met ▢ on ~ ” の「目的語」となっているので、that を用います。(who, whom も使えます。)
→ the boy +【 him 】I met ▢ on the beach in summer
先行詞が「もの」の場合
例を挙げます。
ex.5 Soccer is a sport that many people enjoy playing.
(サッカーはたくさんの人がして楽しむスポーツです。)
・先行詞 ” soccer ” が「もの」で、加えられる説明の ” may people enjoy playing ▢ ” の「目的語」となっているので、 that を用います。(which も使えます。)
→ a sport +【 it 】many people enjoy playing ▢
関係代名詞の「目的格」は省略できる!
・上記で説明した「関係代名詞・目的格」はなんと、省略することもできます。
(「主格」「所有格」は省略することはできません。)
・上記のex.1 であれば、
The car which you see over there is Ken’s. を
The car you see over there is Ken’s. としてもOKです。
・同じように、
ex.2 This is the letter which Emi wrote last night.
= This is the letter Emi wrote last night.
ex.3 Don’t forget the flowers which I bought for you.
= Don’t forget the flowers I bought for you.
ex.4 He is the boy that I met on the beach in summer.
= He is the boy I met on the beach in summer.
ex.5 Soccer is a sport that many people enjoy playing.
= Soccer is a sport many people enjoy playing.
ーとなります。
どうして、関係代名詞の「目的格」だけは省略できるのでしょうか?
そこには、もちろん理由があります。
関係代名詞の「目的格」が省略できる理由
・「主格」と比較するとよくわかります。
ex.6 The cat which is under the desk is Coco.・・・「主格」
(机の下にいるネコはココです。)
ex.7 The cat which I want to have is very expensive.・・・「目的格」
(私が飼いたいと思っている猫は、とても<値段が>高い。)
それぞれの関係代名詞を仮に省略してみます。
ex.6 の関係代名詞・主格 which を省略すると(誤文ですが、あえて)
→ The cat is under the desk is Coco.
ex.7 の関係代名詞・目的格 which を省略すると
→ The cat I want to have is very expensive. となります。
※ ex.6 の省略バージョンの英文を見ると、最初の
The cat is under the desk の部分で、「もう英文が完結してしまったかのように」だれもが感じます。それは、接着剤であった 主格の which がなくなったため、大部分は人は「猫が机の下にいる。」と言う文だと「思い込む」からです。
一方、ex.7 の省略バージョンであれば、
The cat I want to have の部分で、 the cat と I がこの形で並ぶことはありえず、しかも
I(主語)の後に “want to have” という動詞が来ているので、「これは the cat の説明なのだ」と分かるような語順になっています。
すなわち、
・関係代名詞の「主格」を省略すると、英文が「誤読・誤解される」ので、
→省略できない。
・関係代名詞の「目的格」は省略しても、それが「説明の文」だと判断できるので、
→省略できる。
~のです。
やはりこのような部分を見ても、
「英語は語順がすべての言語である」ということを強く感じますね。
「主語+動詞~」の文による後置修飾
・関係代名詞の「目的格」を省略すると、中学校3年生の教科書に出てくるような、
ex.8 The country I want to visit is Australia.
(私が訪問したい国は、オーストラリアです、)
ex.9 I have found the key I lost yesterday.
(私は昨日紛失した鍵を見つけた。)
というような英文ができます。
これを、
・関係代名詞・目的格の省略、と捉えてもいいですし、
・文による後置修飾、として捉えてもいいと思います。
※文による後置修飾、という言い方(用語)は、
基本的に英語では、『説明はその言葉の後ろにつける(後置修飾)』という特徴に
注目した(または視点を置いた)ものであるだけで、
中味は、同じなので安心してください。
ですから、
中学校の教科書によっては、
「後置修飾」という用語を用いていないところもあります。
なお、
現在分詞と過去分詞の後置修飾については、
下記のブログの記事を参考にしてください。
今回はここまで。
「3学年の3学期に押さえたいポイント」は「①」から「⑤」
まであります。下記にリストアップしますので、興味のある方は
クリックしてご覧ください。
①関係代名詞の表現〜基本編
②関係代名詞(主格)
④関節疑問文
⑤教科書を有機的に扱う
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