さて、今度は「読む力」について
見ていきましょう。
「読む力」とは・・・小学校では
・当然の話ですが、
「読む」ということは、
ここでは「英語の単語」が読めて、意味がわかる(さらに深くいうと、内容に応じた読み方ができる)ことを意味します。
「読む力」を考えるとき、生徒たちは
「音声」と「文字」の間にある一定の規則があることを学ばないと、
「英文を見ても、全然読めない(意味がわからない」という、
英語嫌いの生徒の大部分が口を尖らせて言う「セリフ」のような状態になってしまいます。
小学校では、
「音声」を中心とした活動、指導が中心となっています。
それは、文字を通さないで「聞くこと」「話すこと」に焦点を絞ることにより
(「文法」にこだわらず)「必要な活動」に「必要な表現」を
覚えることの抵抗感がかなり低くなるからです。
また、
「文字」にこだわり始めると、
日本特有の「自動化理論=最初に英文法をしっかりと教え込み、それを練習することにより徐々に、自動的に使えるようになる」に頼った指導を先生方がしてしまうからでしょう。(ほぼ現在の先生方は、中学校時代に「自動化理論」による訳読文法中心の授業を受けてきたはずです。英語教育を専門に学んできていない先生であれば、「自分が体験した授業」の仕方をそのままトレースしてしまう傾向が強いですからね。)
そのため、
小学校の先生は、
「外国語活動」を指導するのに、とても苦労したのです(現在もしていますが。)
・・・自分たちが受けたことのない英語の授業の仕方を「無理やり」しなさい、と文科省が強制するからです。
今年から、
小学校3年生からの「外国語活動」、小学校5年生から「外国語」の授業が始まり、高学年からは「文字」も少し扱うようになっていますが、あくまでも
小学校では「話すこと」「聞くこと」をメインとした活動です。
ですから、
小学校の副教材ではもちろん「文字、単語」が掲載されていますが、
子どもたちにそれを「読みなさい」という指導はしません。
〜何回も聞いて、話すことにより、
ある程度自然に「文字」を見て「英語を言える」ようなレベルにとどめる
ように求められています。
ですから、
本格的に「読む力」を身につけるのは、
正式に文字が導入される中学校から、となります。
小6の生徒が、中1の英語で期待すること
少し前の授業の様子ですが、
さすがに小学校6年生ともなると、
Hi, friends!の教材でのアクテビティは、似たようなゲームや活動ばかりなので、
授業に飽きてしまっている児童も意外と多かったような気がします。
その原因は、
「小学校では文字を扱わない」という原則があったからです。
小5からスタートした「外国語活動」は、
当初は、「覚える」のではなく英語を使っての「活動」をすることが主旨であったため、積極的にゲームなどに参加すればするほど、楽しむこともできたのです。
それが、2年目になると(6年生になると)ワンパターンに感じるようです。
そして、彼らが感じるのは
「こんなに言える英語を、読めたり、書けたりできたらいいのにな〜」
という、第2言語を学ぶと誰もが切望する願いです。
このような気持ちを持って、
小学校を卒業した生徒は、中学校での英語の授業に臨むのです。
中学校では、そんな生徒の期待に応えた授業をしているのでしょうか?
英語嫌いの原点は
英語嫌いの原点は、
英語が読めない! |
の一言に尽きます。
英語のテキストであれば、
「文字」に関して言うと、英語が読めて → 英語が書ける
と言う配列になっているので、
最初に「英単語を見ても、発音できない!」という気持ちをもってしまうと、
それが、英語学習の一番の阻害要素になってしまうのです。
英語は「表音文字」なので、
「英単語を見ても、発音できない」と言うのは、
日本語でいうと「ひらがな、カタカナを見ても、読めない」というのと同じ
なのですが、この深刻さを中学校の英語の先生がたはあまり感じていないようです。
英語は「表音文字」
・辞書で調べると
表音文字 | 一字だけでは意味をあらわさず、音声のみをあらわす文字 👉ひらがな、カタカナ、アルファベットなど |
表意文字 | 一字で一定の意味と音をあらわす文字👉漢字など |
とあります。
であれば、
中学校の特に入門期は、
表音文字である「英(単)語」を、読めるようにする指導をしっかりとしなければ
いけないのです。
しかし、
従来は、先ほども言ったように「自動化理論」を中心とした授業をしてきたため、
「英単語は書いて覚える」や「毎回の単語テストで覚えさせる」「教科書を何度も読めば覚える」などの間違った指導法をする教師が後を立たないわけです。
(これは、指導する側が、学生時代にフォニックスを学んだことがなかったため、
とも言えるのですが。)
小学校に外国語活動が
入ってきたため、中学校1年生の教科書の最初は、
簡単にフォニックスを取り上げるようになりました。
これは、
小学校で「音声」中心で学んできたものを財産にして、
中学校でそれを「文字」へとつなげていくださいね、という
方向性を明確にしている証拠なのですが、
それを理解している人はそんなに多くないようです。
英語は「表音文字」である、
ということを、再度しっかり確認しなければいけないと思います。
ちなみに、日本語は・・・
・大抵の言語は、それを示す文字と言うのは、一種類しかありません。英語であれば、もちろん「アルファベット」であり、韓国語であれば「ハングル(文字)」のことを指します。
しかし、日本語においては
①ひらがな(表音文字)
②カタカナ(表音文字)
③漢字(表意文字)
さらに、アルファベットを用いて「ひらがな」を表記する「ローマ字」までも
あります。
このように、日本人は、複数の表音文字と表意文字が混じった
複雑な言語(日本語)を使いこなす人種なのです。
ただ、
「ひらがな」をアルファベットで表記した「ローマ字」は、
英語教育には、多大な悪影響を与えている、と言えるのではないかと
私は思います。
「ローマ字」と「英語」は、
全く別物なのですが、使っている文字が「アルファベット」で同じなので、
「英語」を「ローマ字」読みしてしまい、英語を読むことに挫折してしまう生徒たちも意外と多いようです。
( take を「テイク」でなく「タケ」と読んでしまうような間違い)
「ローマ字」は、あくまでも「日本語」であり、
「英語」は、それと全く別の発音の規則があるのだ、としっかり
入門期に指導する必要があるのです。
「読む」ことのトレーニングの段階
このように考えていくと、
「読む」ことの指導を、
段階的に示すと
①小学生の段階では ・「アルファベット」そして「単語」レベル、また「簡単な文章表現」レベルの多量のインプット、アウトプットの経験値を高めることにより「読み方」を推測できるようなレベルまで持ってくる |
②中学校の段階では ・小学生での「音声中心」の活動を基礎として、 👉フォニックスの基本を指導する 👉基本的な単語を読めるようにする 👉英文が読めるようにする 👉英文の意味を理解して読める 👉読みに自己表現を含めて読める ようなレベルを「書く」ことも意識しながら指導する必要がある |
ということなると思います。
今回は、
「読む」ことに関する小中の連携の大切さ、「文字」
についての話を中心としましたが、次回からは、
具体的な指導法についてふれていきます。
「『読む力』のトレーニング」は「①」から「⑤」まであります。
時間のある方は、下記をクリックし「②」もお読みください。
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